第87回:職人たちの過去、現在、未来
昨年行われた海外イベントの大盛況をきっかけに今年も6月にスペイン・バルセロナとイビザで日本最高峰の職人技をお届けするイベントを開催する。池川氏と中原氏に加え【日本橋蛎殻町 すぎた】の杉田氏。この3名の職人は自分たちが日々ベーシックに行っていることを世界へ発信するという。“SAMURAI”ならぬ“SHOKUNIN“が世界共通言語になる日を目指し、精進する職人たちの過去~未来に迫る。
“シェフ”と“職人”の違い
――スペインのイベントでは、お三方が鳥、牛、魚をコースで振舞う。これは贅沢の極みですよね。と同時にちゃんとしたものを伝えられる。非常に面白い試みだと思います。
中原:大きな使命感をもってやらせていただいています。
池川:中原さんとよく語るんですけど、“職人”は幅の広いことではなく「一意専心」という言葉があるように、ひとつの事を極めます。鮨であれば握り一貫にどれだけのエッセンスが組み込めるか、焼肉であればタンひとつにどれだけの仕事のプロセスが凝縮できるか。鳥であればひと串への入魂ですよね。シェフはソースの味見ができますが僕らは作ったものを味見できないのでそこで勝負、というかそういう気概でやっている=これが“SHOKUNIN”なんだと思います。
職人=SHOKUNINが伝えたいこと
――これから職人を目指す方々へ、それぞれメッセージをお願いします。
池川:焼鳥はとってもシンプル。焼いたものをタレか塩でいただく。いろいろなプロセスはあるものの「焼鳥職人」というキーワード、それを世界に誇れるようになりたいですよね。
中原:専門職なので「焼肉屋さんになりたい」でなくともいいんです。和牛を扱う「和食屋さんになりたい」でもいいです。「肉の構造を知りたい」など例えばイタリアンでも鳥を使いたいんです、ということもありますよね。親方から学ぶのは「姿勢」。そして挨拶と掃除。そこだけちゃんとしてもらえればきっといい職人になれるはずだから。なので多少の理不尽は仕方がないとして基盤を学んで欲しい、自分が親方になったときに自己流に変えてください、と言いたいです。僕らもわかっていながらやっているんでね。