春のイタリアンは郷土で選ぶが吉! | ヒトサラ
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Trattoria Siciliana Don Ciccio
- シェフがシチリアで体感したのは「食事は楽しく!」の精神。午後3時半からはスタッフ揃っての食事タイムとなっており、ファミリーの絆を深めつつ、シチリア流のおもてなしでその雰囲気がゲストにも伝わるよう努めている
- 太めのパスタを使ったボッタルガが主役の「シチリア産マグロのカラスミとミニトマトのスパゲットーニ」2,300円
- グリーンピース、そら豆、アーティチョークをシンプルに煮込んだ「フリッテッダ」1,800円
- 「スタッフをはじめ、ゲストもファミリーの一員。食事を楽しんでほしい」と石川シェフ
- カタッラット種から作る「ドンチッチョ ビアンコ」は柔らかな果実味が特徴
Trattoria Siciliana Don Ciccio
03-3498-1828 住所:東京都渋谷区渋谷2-3-6 SGSSSビル1F
営業:18:00~L.O.24:00
休日:日曜、祝日の月曜 お店の詳細情報を見るシチリア料理の本質を体現する
快活なファミリーのおもてなし「去年ガットゥーゾが監督で来たけど、すぐ解任。でも今、チームは調子がいいからきっと1部へ上がれるね」。さり気なく飾ってあるチームマフラーへ話を振ると、シェフは笑顔でこう返した。これはもちろん、シチリア島パレルモを本拠地とするサッカーチームの話。現地のトラットリアと同様、【ドンチッチョ】でもこんな具合にゲストとスタッフが他愛もない会話を交わすのが日常だ。
「ゴッドファーザーが好きだから」。修業時代、そんなシンプルな理由でシチリア島へ渡り、シシリアンファミリーの輪に入った石川勉シェフ。ゲストへ寄り添うサービス、スタッフとの信頼関係、すべての原点はここにある。無論、料理もシチリアで使われる食材を多用した直球勝負。塩漬けケッパーやミント、オレガノ、柑橘類、ナッツを多彩に使用し、季節の食材と合わせて巧みに楽しませてくれる。
昨年よりハウスワイン(白)はオリジナルの『ドン チッチョ ビアンコ』を採用。シチリアのワイナリーへ特注した自信作だ。料理とワイン、そして親密な雰囲気。エントランスを抜ければ、誰もがこの店を包む大きなファミリーの一員として歓迎されるはずだ。 -
ICARO
- 代官山の老舗【アントニオ】を皮切りに、東京やイタリアの名店を渡り歩いた宮本義隆シェフ。各店での修業で身につけた伝統的な技術を自らの個性と融合させることで、この店の料理を他にはない味わいに昇華させている
- 「しっかりとした味」を基準にセレクトしたワインをおいしく味わうため、メインディッシュは肉料理のみ
- 「パッパルデッレ エゾ鹿の煮込みソース」1,800円は、シェフ渾身の手打ちパスタと濃厚なソースが調和する逸品
- 7年間のイタリア修業を積んだシェフ。手がける料理からは本場イタリアの空気感さえ感じられる
- 塩漬けにして熟成させることで旨みが凝縮された「長野産 ジャージー牛のモモ肉マリネ南チロル風」1,800円
ICARO miyamoto
03-5724-8085 住所:東京都目黒区上目黒2-44-24 COMS中目黒4F
営業:18:00~L.O.24:00(土曜・祝日17:30~L.O.22:00)
休日:日曜 お店の詳細情報を見る実力派シェフが手がける
北イタリアの郷土料理素材をシンプルに活かす南イタリア料理に対し、保存食の文化が根強い北イタリアの料理。加工肉をはじめとした手のかかる料理も多く、そのためより強くシェフの個性が表れる。もちろんこの店も例外ではない。供される料理はどれも、宮本義隆シェフの技とセンスの結晶。それは単においしいイタリア料理としてではなく、唯一無二の【イカロ】の味としてゲストの印象に刻み込まれるのだ。
たとえば香味野菜とともにじっくりと煮込んだ鹿肉。あるいは10日ほど塩漬けにして熟成させた牛肉のマリネ。バターのコクやスパイスの風味はずっしりと重いようでいて、ワインと合わせると上質な余韻に変わる。十分な満足感と、軽やかな後味。その絶妙なバランス感覚こそが、宮本シェフの“個性”なのである。
「食べたい料理を、自由に選択して欲しい」との思いから、メニューはアラカルトのみ。シェフが生み出すここだけの一品を、誰もが自由なスタイルで堪能できる -
mondo
- 煮る、焼く、蒸す。そんな基本を常に意識しながら料理に向き合うという宮木康彦シェフ。それは郷土料理のベースにマンマの味があることを見抜き、ゆえに真心を込めて調理するためには欠かすことのできない姿勢でもある
- 北イタリアらしい食材を使った「ホワイトアスパラガスとピサンリのサラダ」。スペックのコクが隠し味に
- ほどよい酸味が心地よい「まめさんのザワークラウトのスープ」。アルトアディジェ州の郷土料理のひとつ
- サービスは付かず離れずがモットー。ゲストの様子を見るために宮木シェフ自らが料理を運ぶこともある
- 白壁のシンプルな内装は美術館をイメージしたもの。料理同様、壁の絵画も毎月新たなものに変えていく
昇華させたマンマの味が
コース料理の中で息づく店があるのは自由が丘の閑静な住宅街。入口にそれらしき看板はなく、初めて訪れる人を大いに困惑させる造り。まさに隠れ家と呼ぶにふさわしいレストランだ。
メニューは月替りのおまかせコースのみ。旬を的確に捉え、移りゆく季節の喜びに溢れる構成だが、イタリアの郷土色を前面に打ち出すわけではない。だが、個々の料理に目を向けると、郷土の味が濃密に反映されていることに気付く。それはオーナーシェフの宮木康彦氏がイタリアで感銘を受けた料理の再現でもある。
【青山アクアパッツァ】でキャリアをスタートさせた宮木氏は、独立を前にイタリアへと赴く。そこで出合った郷土料理は刺激に満ちていたという。「北部のアルトアディジェ州ではチロル料理が生活に溶け込んでいた。南部のプーリア州では素材をシンプルに活かしていた。共通するのはマンマの味が基本ということ。それを高い技術で表現するのが目標のひとつになりました」。そう語る宮木氏はザワークラウトをスープに仕立て、クタクタに煮た野菜のソースでカヴァテッリを和える。現地での感動を、すべてのゲストのために。料理への妥協なき姿勢は、そんな思いにも支えられている。 -
Ostu
- 「自分が見て、感じたイタリア料理を、きちんとお客様に届けたい。ピエモンテの料理は日本人の発想では考えつかないようなものもあるんです」と宮根シェフ。まさにピエモンテの土着の味を代々木の地で再現している
- 「フィナンツェーラ(色々な内臓の煮込みピエモンテ風)」2,800円。下処理に驚くほどの手間をかけた逸品
- 「パスタ エ チェーチ」1,700円は、ひよこ豆とボルロッティの2種の豆を使ったパスタ。しみじみと旨味が広がる
- 都内のイタリアンで腕を磨き、ピエモンテのバローロ村で約5年の修業を経て【オストゥ】を開店した宮根シェフ
- 店名の【オストゥ】とはピエモンテの方言で「オステリア(食堂)」の意味。この店もそんな温かい雰囲気が魅力
ひとつの地域を追求した、
深みあるピエモンテの滋味「正直、5年もピエモンテのひとつのお店で修業するとは思っていなかったんですよ。それが、いろいろあって、いいタイミングで違うお店に移ることができなかった。だったら、もうピエモンテというか、マッシモの味をとことん追求してやろうとね(笑)」
代々木公園すぐ、【オストゥ】宮根正人シェフの料理は、北イタリアのピエモンテ料理であり、5年を過ごしたバローロ村唯一の1ツ星【ロカンダ・ネル・ボルゴ・アンティーコ】のさらには、師であるマッシモシェフの味なのだ。
だからメニューには、日本人が考えもつかない内臓の煮込みやバローロの伝統的な牛ホホ肉料理、素朴な豆のパスタなど、まさにピエモンテならでは味わいが並ぶ。そのどれもが滋味豊かでしみじみ旨いのだ。
一見すると華やかさにかける料理が多いのも事実。だがしかし、宮根シェフは無意味に飾り立てたりはしない。それは、ひと度、味わえば分かってもらえるという自信なのかもしれない。そう、宮根シェフの飾らない笑顔同様、この店に来ればピエモンテの素朴で温かいもてなしが待っている。 -
Tharros
- オーナーシェフ馬場圭太郎氏より厨房を任されることになった伊藤孝司シェフ。「馬場さんは自分の道しるべになっている人。この店の味を守りつつ、自分らしさも出していきたい」と語る表情はなんとも頼もしい
- クスクスよりひと周り大きな粒状のパスタは「蛤と菜の花のフレーグラ」2,200円
- パーネ・カラザウを添えた「自家製ツナとクリームチーズのパテ、24ヶ月熟成 マグロのカラスミがけ」1,800円
- 馬場シェフ(右)不在時の厨房の牽引役は、馬場シェフのスピリットを受け継ぐ伊藤シェフ (左) へ
- デザートには島の伝統的な郷土菓子「セアダス」1,000円を。サルデーニャ産のデザートワインも用意する
Tharros
03-3464-8511 住所:東京都渋谷区道玄坂1-5-2 渋谷SEDEビル1F
営業:11:30~L.O.14:00/18:00~L.O.22:30
(土曜・日曜・祝日12:00~L.O.14:30/18:00~L.O.22:30)
休日:無休 年末年始 お店の詳細情報を見る料理も人もシンプルで豪快
サルデーニャ仕込みのひと皿日本国内でにわかに“地産地消”という言葉が持てはやされはじめていた2000年前後。【タロス】の馬場圭太郎シェフは地中海で2番目に大きな島、サルデーニャ島で研鑽を積んでいた。「郷土料理の魅力が見直されていた時期。だからこそ、誰も行ったことがないような場所へ行きたかった」。
渋谷に店を構えたのも、そんな元来の気質から。東京随一の繁華街でコテコテのサルデーニャ料理。この良い意味でのミスマッチと島譲りのシンプルで豪快な味が、多くのゲストを魅了する。スペシャリテである粒状のパスタ「フレーグラ」をはじめ、料理のアクセントとなるカラスミやペコリーノチーズ、馬肉や羊肉のセコンドなど、サルデーニャの伝統料理をストレートに表現したひと皿は、実にバラエティ豊かだ。
そんな馬場シェフだが、この春から店を離れることが多くなるという。「スタッフが変わっても、この箱のサルデーニャスタイルは普遍」とシェフ。渋谷の街に根を張るイタリアンは、これからもサルデーニャ島のように訪れる人々を温かく迎えてくれるはずだ。
※このページのデータは、2014年2月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。