ヴァン・ナチュールに魅せられて | ヒトサラ
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organ
- 右上から時計回りに大地からの前菜「新竹の子と山菜、菜の花、富山の生ほたるいかの1皿」、農場からの前菜「パテ・アンクルート・ア・ラ・メゾン」、海からの前菜「炙り鯖とじゃがいもの一皿」。
- 豚の血を使った前菜「ブーダンノワール」。甘みのあるアルザスの白ワインに合わせるのがおすすめ
- 店内に大型のワインセラーがあり、約500種類1,000本以上の自然派ワインを揃える。なかには入手困難なお宝も
- インテリアはリサイクル品やアンティーク家具がほとんど。使い込まれたぬくもりが居心地のよい空間を作り出す
- 本棚に並ぶのは、すでに読み古された本ばかり。その無造作な感じは、まるで知人の家を訪れたかのよう。
organ(オルガン)
予約専用番号:050-5871-3195 お問い合わせ専用番号:03-5941-5388 住所:東京都杉並区西荻南2-19-12
営業:17:00~L.O.23:00
休日:月曜、第4火曜 お店の詳細情報を見るまだ自然派の言葉がない時代に
出合った衝撃の味が店の原点JR西荻窪駅から南へ伸びる商店街の一角。自然派ワインとビストロ料理を求めて夜な夜なゲストが集う【organ】は、オーナーシェフの紺野真さんにとって2軒目の店だ。2005年に独立開業したのが、三軒茶屋の【uguisu】。その成功が次なる店のオープンへと結びついたのは言うまでもない。
紺野さんが初めて自然派ワインに出合ったのは、今から10年以上も前の修業時代のこと。
「淡い色合いで、一見うすく見えるのに、飲むと旨みが詰まっていて、それでいて繊細で複雑。当時は自然派という言葉もない時代。衝撃でしたね」
つくり手の顔が見える確かさ。年によって味がガラリと変わることもある。メインストリームではなく、オンリーワンを目指す紺野さんの哲学に、それはぴたりとはまったという。とはいえ独立し、自分が本当においしいと思ったワインだけで勝負するのは勇気が必要だったはず。でも、気づけば自然派ワインがもてはやされるご時世。時代の方がようやく追いついたと言うべきか。
店内には手づくりのテーブルやリサイクルショップで手に入れた不揃いの椅子が並ぶ。ほかにはない、独創的なインテリア。そのスタイルは、まるで自然派ワインのつくり手のよう。空間からワインまで芯の通った世界に心地よく酔い、ゲストはまたこの店を訪れるのだろう。 -
BIANCARA
- エントランスを抜けると目に飛び込むボトルワインは、小平氏が「自分がおいしいと感じたものだけを集めた」という珠玉のヴァン・ナチュール。ここに並んでいなくとも店名の由来となった『La Biancara』は常時用意している
- フードの定番は『名物・炙り〆鯖とポテトのソテー』。香ばしい〆鯖がワインの風味と調和する
- 『ビーツと百合根とホタテのポタージュ』。ホタテの食感がアクセントとなる鮮やかなビーツのスープ
- 魚介のマリネやアヒージョ、イカめしまで、仕入れにより日替わりとなる幅広いシーフードメニューが揃う
- V字カウンター、ハットに髭という小平氏の独特な風貌は店のシンボル。毎夜カウンターではワイン談義に花が咲く
BIANCARA (ビアンカーラ)
予約専用番号:050-5871-3196 お問い合わせ専用番号:0422-49-3032 住所:東京都三鷹市井の頭3-31-1
営業:17:00~L.O.23:30、日曜・祝日15:00~L.O.21:00
休日:木曜 お店の詳細情報を見る自然あふれる公園の傍らで
ヴァン・ナチュールに出合う緑あふれる井の頭公園を臨む駅前に位置し、春先なら周辺の桜も満開に。閑静な住宅街と豊かな自然を擁する立地。ヴァン・ナチュールを味わう1軒として【BIANCARA】はまさに理想的な環境だ。
オーナーの小平氏はアパレル業界出身。アルコールはもっぱら日本酒や焼酎派だったという。しかし、ある時飲んだヴァン・ナチュールが氏の運命を変える。それが店名の由来にもなっている『La Biancara』だ。「風味や味わいの素晴らしさはもちろんですが、ワインが自然に身体に馴染む感覚をこのとき初めて知りました」。その後、修業を経て2011年に開業。「ワインバーとビストロの中間というイメージ」というメニューの柱は、ヴァンナチュールと旬の魚介類だ。毎日打ち出しているメニューには、修業先だった【魚真】から仕入れる旬魚の料理やオーガニック野菜を使った前菜などが充実。グラスワインは日替わりで10種前後を用意するほか、リストの代わりに壁際へ陳列しているエチケットの中から好みのボトルをオーダーできる。
「業界全体を盛り上げたい」と、国内のつくり手とも積極的に交流しているという小平氏。衝撃的なワインとの出合いが導いた1軒に、これからも目が離せない。 -
La Pioche
- フードも内装もすべてがナチュラル。一枚板のカウンターをはじめ、扉、椅子、棚なども大工である店主の義父や家族による手づくり。熟成を経たワインがその深みを増すように、インテリアも刻々と変化し味わいを増してゆく
- 自然派のワインと合わせるのは、原始的な調理法である炭火焼き。ソースを使わずにシンプルに仕上げられている
- 「骨付きロース炭火焼き」。熟成庫でじっくり寝かせることで、肉のポテンシャルを最大限引き出す
- 「お肉屋さんの前菜盛り」。塩を控えて素材感を際立てた手づくりシャルキュトリーがたっぷり7~8種
- 店主の林さんはフランスの農園で自然なワインづくりを経験。知識とともに、ワインへの深い愛情も育んだ
La Pioche (ラ ピヨッシュ)
予約専用番号:050-5871-3197 お問い合わせ専用番号:03-3669-7988 住所:東京都中央区日本橋蛎殻町1-18-1
営業:17:30~翌1:00、土曜・日曜・祝日 16:00~24:00
休日:不定休 お店の詳細情報を見る優しいワインを引き立てる
シンプルかつ豪快な炭火料理すべてにおいて、なるべくナチュラルであること。店主・林真也さんが店を始めるにあたり、思い描いていたコンセプトだ。厳選した食材を炭火という原始的な調理法でシンプルに仕上げる料理は、豪快なボリュームがありながらも軽やかなおいしさ。気負いないサービスやハンドメイドで仕上げたウッディなインテリアも、心地良い雰囲気を演出。自然体の料理や雰囲気がゲストの心を少しだけ溶かし、心から食事を楽しむ下地をつくる。そしてその隙間に、自然な製法でつくられた優しいワインがじわりと染みこんでくるのである。
500種以上揃うワインは、すべて自然派のみ。かつてフランスの農場でワインづくりを経験した林さんだけに、ワインへの造詣や生産者への敬意はことさら深い。そんな林さんが伝えるワインの楽しみ方はずばり「好きなものを好きなように」。肉だから赤、魚介には白、そんなルールは一切無用。ここにもまた“自然体である”という店のコンセプトが生きているのだ。
ワインも料理も空間も、すべてが自然体。頭では考えるのではなく、体が自然と欲するようなピュアな幸せが、この店には満ちている。 -
Libertin
- 「仏産鴨のコンフィとシュークルート」。塩漬けにした鴨を低温の油でじっくりと煮て、仕上げにフライパンで香ばしく焼き上げる。アルザス名物のキャベツの酢漬け・シュークルートやソーセージも乗るボリュームメニュー
- 「豚バラとパクチーのサラダ」。パクチーの上にゆでた豚バラがたっぷり。ゴマ油のソースで
- フレッシュな果実味や力強い大地の香りなど、大量生産のワインにはない自然派ワインの魅力が楽しめる
- フランスと東京のハイブリッドを目指したというインテリア。適度な賑わいが上質な酔いへと誘ってくれる
- ホールを担当する柴山健矢さん。個性豊かなナチュラルワインを、ゲストの好みに応じて提案してくれる
Libertin (リベルタン)
予約専用番号:050-5871-3198 お問い合わせ専用番号:03-6418-4885 住所:東京都渋谷区渋谷1-22-6
営業:19:00~翌2:00
休日:日曜・祝日 お店の詳細情報を見るワインと互いを高め合う
軽やかな味わいの料理渋谷駅から徒歩数分。街の喧騒を離れた細い路地に、柔らかい灯りと賑やかな声があふれている。店の名は【Libertin(リベルタン)】。パリの路地裏にあるビストロを思わせる、小さくも活気に満ちた一軒だ。
テーブルに並ぶのは豪快な大皿料理。大振りの鴨のコンフィにソーセージとたっぷりシュークルートを添えた一皿、分厚くカットされたパテ、20cmほどの皿からこぼれるほど盛られたサラダなど、登場する料理はどれも驚きのボリューム。それでも多くのゲストが2皿、3皿と平らげてしまうのは、紫藤善則シェフの技術の賜物だろう。「塩コショウだけで食べてもおいしいもの」にこだわる厳選食材を、できるだけシンプルに。際立つ素材感と軽やかな味わいが、存在感はありつつも重くならない独自のおいしさを生んでいるのだ。
そんな料理に合わせるワインは、やはり自然派がふさわしい。軽く、かつ味わい深い。力強さはあっても、しつこくはない。無茶な希望でも紫藤シェフが選りすぐった自然派ワインなら叶えてくれるはず。おいしいワインと豪快料理で楽しむ賑やかなひととき。本場フランスそのままの、あるべき姿のビストロである。 -
楽記
- 「炭火釜焼きアヒル」。下味をつけてから水飴をかけて干し、仕上げに炭の釜で香ばしく焼き上げる。パリッとした軽快な食感とふくよかな味の広がりが共存する絶品。詰め物に干し梅を加えるなど、隠し味にもこだわりがある
- 「牛ハラミ肉の釜焼き」。塩麹に漬けた後、刻んだ香菜をまぶして焼き上げる。日替りメニューの一例
- 「フランス産鳩の釜焼き」。紹興酒のタレに一晩漬け込んでから、水飴をつけて焼き上げる名物料理
- 名店で学んだ技術と、小規模な店だからできるアレンジで独自の味をつくり上げる焼物の達人・名田シェフ
- 日本におけるヴァン・ナチュールの第一人者である勝山晋作さんが、極上のワインを厳選。料理との相性も抜群
楽記
予約専用番号:050-5871-3199 お問い合わせ専用番号:03-3470-0289 住所:東京都渋谷区神宮前3-7-4
営業:18:00~L.O.22:00 、土曜17:00~L.O.21:30
休日:日曜、祝日不定休大地の力を湛えたワインと
香ばしい焼物の未知なる調和東京屈指の名ワインバー【祥瑞】の勝山晋作さんと香港通として知られる写真家、茶人の菊地和男さんが、新たなスタイルのワインバーを提案した。ワインをおいしく飲むために必要なものを考えると、料理に手抜きはできないという答えに行き着く。それもダシのようなニュアンスの旨みの強いヴァン・ナチュールには、旨みのしっかりとした料理がふさわしい。それならば、とシェフに【福臨門酒家】出身の焼物師・名田定広さんを迎えた。こうして広東料理とワインという異色の組み合わせが楽しめる【楽記】が誕生した。
揃うワインは一般的なワインではなかなか感じられない滋味深いものが中心。洗練されていなくともどこか土の香りを感じさせるワインに、炭火の釜で焼きあげる香ばしい焼物が見事に寄り添うのだ。さらに名田シェフの料理も、ワインに歩み寄る。たとえば焼いたセロリの粉末やタマネギ、ショウガなどの自然素材を調味料代わりにすること。複雑でありながら角の立たないナチュラルな味わいで、ワインとの相乗効果も楽しめる仕掛けだ。
これだけの逸品を揃えても、店はあくまでワインバー。気軽に、気取らずにワインを味わうのがこちらの楽しみ方。予約はもちろん取りにくいが、それでも足を運ぶべき至高の一軒だ。
※このページのデータは、2014年4月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。