週末、 鎌倉日和り | ヒトサラ
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Beau Temps
- 民家の納屋だった建物は、基礎の柱や梁を残して大胆に衣替え。天井を取っ払い天窓を設けることで、陽光がたっぷりと差し込む開放感溢れるつくりに。カウンターではひとり気軽にワインも楽しめる
- 自家製の加工肉を盛り合わせた『シャリキュトリープレート』。常時10種ほど揃うメニューから3~5種がひと皿に
- 『白子のポシェ』。白子の旨みに雪中キャベツのピュレーの甘みとハーブソースの香りが寄り添う
- 庭には山梨のワイナリーから植樹してもらったブドウの木も。その実を使った自家製酵母のカンパーニュも人気
- 店主の五十嵐和弘氏。ヴァンナチュールの人気店、三軒茶屋【uguisu】で修業後、2012年からこの店のソムリエに
Beau Temps
予約専用番号:050-5263-1569 お問い合わせ専用番号:0467-40-6172 住所:神奈川県鎌倉市長谷1-14-26
営業:12:00~14:00(L.O.)/18:00~24:00(L.O.22:00)
休日:不定休 お店の詳細情報を見るワイン×フレンチ×鎌倉による
ヴァン・ナチュールの魅力由比ガ浜大通りから小さな路地を入った先。生け垣に掲げられた看板がなければ、初めて訪れる人は見過ごしてしまうのではないだろうか。庭には季節の草木と小さな自家菜園があり、何しろ建物は築90年という古民家の納屋をリノベーションしたものである。隠れ家といってはありきたりだが、長谷という鎌倉の一大観光地にあって、街の喧噪とは無縁の店といっていい。
ここ【Beau Temps】のオープンは2007年。まだヴァン・ナチュール(自然派ワイン)という言葉すら浸透していなかった時代からその魅力を広めてきた。フランス産を中心としたラインナップは約200種以上に及び、店主の五十嵐和弘氏が自らの舌で確かめ、「毎日飲めて、スイスイと楽しめるワイン」をセレクト。そんなヴァン・ナチュールだが、実はここ鎌倉で味わって初めて発見できる魅力がある。
「鎌倉は海が近いから東京よりも湿度が高い。自分もここへ来てから分かったのですが、その湿度の差がワインの特徴をはっきりと映し出すんです。同じワインでも味や香りが違うんですよ」とは五十嵐氏。そして、鎌倉野菜や三浦の漁師から直接仕入れる魚を取り入れたフレンチと合わせれば、ワインの味わいにもさらなる奥行きが出るのだ。今やヴァン・ナチュールを楽しませる店はごまんとあるが、ここでしか楽しめないその魅力をしかと実感してほしい。 -
あああ
- 営業中、オーナーシェフの藤本氏はキッチンの中をまるでアスリートのように絶え間なく動きまわる。事前に仕込み過ぎず、できるだけ食べる直前に手をかけて料理を仕上げるのは、つくり手の気持ちを少しでもゲストに伝えたいと思うゆえ
- 『フォアグラと白子のコンソメ仕立て』。ゴボウの風味を加えたコンソメは、客席でお皿の中に注がれる
- 『エゾジカのポワレ ブルーベリーのソース』。火を入れたり生だったり、各々の個性を生かした野菜も彩り良く並ぶ
- 店の中央にカウンター席。サービス用の通路を挟んだオープンキッチンから調理の音や匂いが店内に漂う
- 藤本恵史シェフ。料理の合間を縫い、時間が許す限り自らフロアに出てサービスを行うよう心がけている
été
予約専用番号:050-5263-1567 お問い合わせ専用番号:0467-84-8114 住所:神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-7-20 山口ビル1F
営業:11:30~L.O.13:30/17:30~L.O.21:30
休日:月曜、火曜ランチ お店の詳細情報を見るわざわざ訪れる価値を見出す
驚きのコストパフォーマンスオープンして4年目、今や鎌倉の人気フランス料理店としてすっかり定着した感のある【été】。特別な日の食事というイメージの強いフレンチにもかかわらず、予約の取りづらい日々が続く現状について、店主の藤本恵史氏はこう分析する。「やはり価格帯のせいではないでしょうか」。アミューズに始まり前菜、メイン、デザートへと進むコース料理がランチで3000円、ディナーで4200円から。「自分でも気兼ねなく行ける店にしたかったですし、フランス料理をもっと身近に感じてほしかった。だから、値段ありきでスタートしたんです」。
まずは来店へのハードルを低くしつつ、メニューにも工夫をこらす。例えば、前菜に必ず使うのが高級食材のフォアグラ。それはせっかくフランス料理を食べに来てくれるのだから、その醍醐味を感じてほしいという思いから。「ほかにはあまりこだわりもありません」と笑う藤本氏だが、国内外にアンテナを張り巡らせ、選りすぐりの食材で仕立てる品々はどれも秀逸。その満足感がコストパフォーマンスの良さへとつながり、さらに評価を高めていく。
「外食はエンターテインメントのひとつ。ゲストにいい時間を過ごしていただくために、ベストを尽くしたい」。そんな思いを胸に秘める藤本氏は、ただ今32歳。ひたむきに研究を重ねる料理もまだまだ進化中。予約で席が埋まる日々は当分続きそうだ。 -
おおはま
- 会社帰りに寄る人が多かった阿佐ヶ谷時代に比べて、鎌倉は悠々自適に暮らすご近所さんが客のメイン。テーブルを増設したため早い時間からグループの予約で埋まることも増えたという。鎌倉にありそうでなかった居酒屋と歓迎されている
- 『本日の野菜小鉢』。日替わりで十数種が揃う。三品盛りなら600円。この日はブロッコリーと黒豆モヤシのナムルなど
- 『自家製シュウマイ』。「シズル感を大切に(笑)」考え、注文が入ってから包んで蒸し上げる。湯気もまたごちそうだ
- 店主の大濱幸恵さん。元公務員という異色のキャリアを持つ。日本料理の名店で修業し、2010年に自身の店を開業
- 趣味のバイクで、あちこちツーリングに出かけ、行った先で気に入ったものに出合うと買ってくるというお猪口
おおはま
0467-38-5221 住所:神奈川県鎌倉市御成町4-15みゆきビル101
営業:17:30~L.O.21:30(土曜・日曜・月曜以外の祝日15:00~)
休日:火曜、第1・3月曜、祝日の月曜 お店の詳細情報を見る愛する日本酒に寄り添う料理を、
地の利を活かして多彩に展開「阿佐ヶ谷時代より、もっと増えちゃったかも」。メニューにズラリと書き出された、その日の献立を見て、店主・大濱幸恵さんは笑う。その数、およそ80種。これをひとりでつくり、提供しているのだから、スゴい。【おおはま】は阿佐ヶ谷で日本酒好きに愛されてきた居酒屋。縁あって、2014年7月に、鎌倉へと移転してきた。
「野菜も、魚も、素材の良さが全然違いますね」
野菜は逗子にある生産者直売所で毎朝、仕入れ、三浦にある各漁港からは、その日に揚がった鮮魚が届く。そうして『本日のお刺身』から名物の『野菜小鉢』、お肉系なら、注文が入ってからタネを包んで蒸す『自家製シュウマイ』など、多種多様な料理に仕立てている。
「ワインは置かないのがポリシーなんです」とまた笑う大濱さん。この店の料理は基本的に、大濱さんが愛する日本酒に合わせてつくられている。それぞれの銘柄を飲んでみて、その味に寄り添う料理を考える。それは、以前から不変のスタンス。潔くて、清々しいのだ。だからだろう、そうした空気は店内にも漂い、長居をすればするほど、居心地がどんどん良くなってくる。
「最近は私がひとりでアタフタしているのを見て『その光景がつまみになる』なんてお客さんもいる(笑)」
週末の営業は午後3時から。鎌倉散策を楽しんでから、この店で締めれば、それは素晴らしい1日になる。 -
北鎌倉 円
- 窓から円覚寺の白鷺池を眺められるのも、名刹が点在する北鎌倉ならではの魅力。テラス席もあり、3月下旬にはソメイヨシノや山桜などが花を付け、池全体が美しいピンク色に彩られる
- 2つの小鉢が供される『先付』。この日は豆腐の入った南禅寺蒸しとカキのしぐれ煮が登場した
- この日の焼き物は『真鯛の若狭焼』。薄口醤油と酒を塗って香りを付け、皮目をパリッと焼き上げる
- 板場を預かる堀江邦英氏。父の修氏と母の佳余子さんとともに家族で切り盛りする、気張らず楽しめる店だ
- 金箔を施した天井や囲炉裏を切った一枚板のテーブルなど、数寄屋造りの店内が情緒溢れる雰囲気を醸し出す
白鷺池を望む数寄屋造りで
懐石料理を味わうひととき円覚寺、建長寺といった名刹、古刹が点在する北鎌倉。通りを歩けばそこかしこに飲食店の暖簾がかかりランチに困ることはないが、観光客を相手にする店も多く、落ち着いて食事を楽しめる店となると意外にも少ない。そんな北鎌倉にあって、駅改札を出た左手、建物の2階にあるのが【北鎌倉 円】だ。階段を上がれば、そこは駅前とは思えぬ空間。決して広くはないが、店内には数寄屋造りの凛とした空気が流れ、窓の外に広がる円覚寺の白鷺池を眺めていると、料理が運ばれてくる頃にはすっかりと寛いだ気分になっている。
ここで味わえるのは、この道約40年の堀江修氏と息子・邦英氏がつくる懐石料理だ。2つの小鉢が供される先付に始まり、向付、焼き物、炊き合わせなど、運ばれてくるひと皿ひと皿は、味わいに強弱をつけながらも、確かな技で素材の滋味を引き出したものである。しかも、懐石料理を3,500円で楽しめる幸せ。女将の佳余子さんの快活なもてなしに寛げば、価格以上の悦びを見いだすに違いない。
さて、今年も例年通りの天候が続けば、3月下旬には鎌倉も桜の季節を迎える。美しい薄紅色に彩られた白鷺池を眺めながら、優雅にランチを楽しんでほしい。 -
レストラン プランデルブ北鎌倉
- 鎌倉の静かなロケーションに佇む築50年の邸宅がこの店の舞台。サービスや料理には一流の仕事を施しながらも、肩肘張らずに楽しめる雰囲気はこの店の大きな魅力のひとつといっていい
- この日、一皿目の前菜に登場した『フランス産の白アスパラガスと北海道産ホタテのポワレ』
- 熊本県産のアサリとニューカレドニア産の天使のエビを使った『金時鯛のポワレ ブイヤベース仕立て』
- 広い芝生広場を擁した日本庭園。グミの木や松の木、ツツジなど、季節の草木が植樹されている
- ワインはソムリエが厳選した約270種をストック。フランスを中心にイタリア、カリフォルニアワインなども
レストラン プランデルブ北鎌倉
予約専用番号:050-5263-1568 お問い合わせ専用番号:0467-47-4567 住所:神奈川県鎌倉市梶原3-32-11
営業:12:00~L.O.14:00/17:30~L.O.20:00
休日:火曜 お店の詳細情報を見る閑静な住宅地の一軒家フレンチ
優雅な邸宅が約束する特別な時間「美味しさだけを求めるなら、東京に行けばいくらでもある。やるならお客様にここへ来る意味を見出してもらえる店にしたかった」
都会の雑多な雰囲気ではなく、空気の綺麗な場所で内面から癒されるようなレストラン。それがオーナーの佐藤誠氏が【レストラン プランデルブ北鎌倉】を構えるにあたり掲げたコンセプトだ。だからこそ、佐藤氏はロケーションには徹底的にこだわった。北鎌倉駅から歩いて30分弱。約1年半をかけて探し出したのは、観光地からはかけ離れた梶原地区の閑静な住宅地に佇む一軒の邸宅である。店内は広々とした空間をいかしてゆったりとテーブルを配し、一面のガラス窓の先に広がるのは四季の草木に彩られた日本庭園。そして、心遣いのあるもてなしがゲストの特別な時間を演出するのである。
もちろん、人々がわざわざこの店を目指してやって来るのは、当然料理が美味しいからでもある。ランチ、ディナーともにコースのみ。シンプルかつクラシカルに仕立 てるフレンチは、時に繊細に、時に大胆に素材を活かしてゲストの舌を魅了する。
佐藤氏の言葉を借りれば「自 宅にお客様を招くイメージ」がこの店にはぴたりと当てはまる。鎌倉にレストランは数あれど、これほどまで贅沢な時間を約束する店は他にはない。
※このページのデータは、2015年3月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。