1. ヒトサラ
  2. ヒトサラSpecial
  3. 一流の系譜を継承するレストラン

東京のいまを熱くする 一流の系譜を継承する
レストラン
Hitosara special

哲学、技術、矜持、精神……。
一流のDNAが若き世代へと受け継がれ、新たな世界を切り開く。
いつの時代にもそうした新たな血潮がレストランシーンを面白くしてきた。
フレンチ、中華、イタリアン、薪焼き、串揚げ。
一流の系譜を継承する、東京レストランの最前線を紹介する。

Photographs by Takuya Suzuki , Jiro Otani , Shinjo Arai /
Text by Natsuki Shigihara , Koji Okano , Ayano Yoshida , Maria Kawashima , Ai Ozaki
Design by form and craft Inc.

  • アーチを描く8席のシェフズテーブルが、特別な日を飾る2時間半の晩餐の舞台。
    左右に設置された有田焼のアートパネルに、食材の産地などの映像が映し出される

    unis

    映像演出と最高峰の料理が彩る
    ハレの日のためのレストラン

     人生の節目となる日を、素晴らしい料理とともに過ごす。それは“舌を楽しませ、お腹を満たし、心を浮き立たせる”という料理本来の使命が、もっとも発揮される時間だろう。2020年12月、虎ノ門に誕生した【unis】は、そんなアニバーサリーのためだけのレストランだ。

     ここで堪能できるのは、味ではなく、いわば体験。予約を取り、店を訪れるときから、特別な時間はスタートする。看板のないドアの真鍮の取っ手を引くと、はじめて店のサインが出迎える。その先は照明を絞ったウェイティングルームだ。ソファに座りウェルカムドリンクを傾けながら、期待感はさらに高まっていく。いよいよ時間がやってくると、スタッフが厳かに扉を開く。シックなウェイティングルームから一転、扉の先は白で統一された華やかな空間。いよいよディナーの幕開けだ。アーチを描くシェフズ テーブルの中心に立つシェフが、晩餐のはじまりを告げる。照明と映像が盛り上がりに拍車をかける。今日の日の主役が着席したゲスト自身であることを、改めて実感させてくれる演出だ。

     それでいてコンセプト先行になってしまわないのは、料理を手がけるのが、あの薬師神 陸氏だから。名店【SUGALABO】の立ち上げから、シェフ・須賀洋介氏の右腕として身につけた技と知識、自身の足で訪ね歩いた全国600以上の生産者の食材、そして「お客様の人生の大切な日をお預かりする」という責任感。兼ね備えた不可欠な要素が奏でるのは、計9品のフルコース。伝統に敬意を払いつつ、革新を恐れない薬師神ワールドのフランス料理が、ハレの日の晩餐を、記憶に刻み込んでくれる。

    • シグネチャーディッシュは花束のような『ブーケサラダ』。季節により変化する花、野草、根菜と旬の魚介を合わせて
    • パティシエ・江藤 英樹氏の手がける美しいデザートも記念日に華を添える
    • 一挙手一投足の所作やゲストとのトークにもプロの技が光る薬師神陸シェフ
    継承する一流の系譜

    薬師神シェフが振り返る【SUGALABO】須賀洋介氏の凄みは「とにかく耳の良い人」という言葉に集約される。客席に目を配り、ゲストの言葉、スタッフの会話に耳を澄まし、それに応じた最適な対応をする。「気が利くということはつまり、おもてなしの精神のこと。料理もサービスもすべて、この精神ありきです」と現在も須賀氏のありようを強く意識している。

Back to Top