多様な食材と高き技術が生むハワイリージョナルキュイジーヌ
【Roy’s】といえば、全米に20店以上、ハワイだけでも7店舗を構える、ホノルルで最も有名なレストランのひとつだ。が、その実、各店ごとに評価が異なるのは、それだけ各店、シェフごとによる自由度が大きいということでもある。
「彼はシェフを縛り付けたりしない人です。シェフごとの色を自由に出させてくれる」と【Roy’s】の総料理長でもあるロイ・ヤマグチ氏のことを話すのは、【Roy’s Waikiki】でシェフを務めるジェイソン・イチキ氏。19歳で料理の世界へ入ると、【Roy’s】ひと筋でこの店のシェフにまで上り詰めた料理人だ。そして、イチキ氏はこうも言い切る。
「自分の料理は誰かのコピーではない。しっかりした味付けだけど、何を食べているか分かる料理を心がけています。盛り付けにもこだわりますが、料理として無意味なものは置きたくありません」
これこそ【Roy’s Waikiki】の色であり、評価点だ。地元のカンパチはクリアな醤油に柚子胡椒、ビネガーで味と香りをのせて、カンパチの旨みに重ね合わせ、あるいはハワイ産のバターフィッシュ(マナガツオ科の魚)なら、水分をじっくりと抜いた身に味噌のソースで2日間マリネしてから焼き上げる。どことなく和を感じさせつつ、しかし、着地点は和でも洋でもない。多様なテクニックを駆使して作り上げる料理は、これぞハワイリージョナルキュイジーヌの実力店と思わせてくれる。