忘・新年会に喝采!この冬くる、鍋 | ヒトサラ
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三田ばさら
- 角のないまろやかな味に仕上げるため、酒とみりんをじっくり1時間ほども煮詰める割下。醤油は最後に加えて風味を際立たせる。シンプルに見えて、実は緻密な計算がなされた深みある「トマトすき焼き」は会席コース5,500円~
- “ばさら”の意味は、自由気ままであること。料理長の藤田憲一氏は、店名通りの自在な発想の料理を生み出す
- 日本料理の基本を凝縮しつつ、新たな挑戦も込められた車八寸。酢ゼリーをかけたホタテなど5品を一皿に
三田ばさら
03-5444-6700 住所:東京都港区芝3-43-16 DNI三田ビルB1F
営業:11:30~L.O.14:00/17:30~L.O.21:30
休日:日曜・祝日 お店の詳細情報を見る極上黒毛和牛を引き立てる
甘みと酸味の絶妙なバランス甘い香りを漂わせながらグツグツ煮える割下に、トマトとタマネギがどっさり。名物「トマトすきやき」を見ると、初見のゲストは一様に歓声を上げる。決してインパクト重視の色物ではない。具材の旨みが一点に凝縮され、深みある美味を生み出しているのだ。
味の要となる割下は、芯の強いしっかり味。そこにフレッシュなトマトの酸味が加わることで、醤油はまろやかに、味醂の甘みはよりはっきりと際立つ。そして主役の牛肉は、脂の甘みが強い黒毛和牛。割下とトマトの味に埋もれることなく、しっかりと肉の旨みを主張する。どれかひとつ欠けても成り立たない、絶妙な味のバランス。それこそがこの料理を至高の逸品として成立させている。
日本料理のタブーであったニンニクの使用など、既存の枠を軽々と飛び越えてきた同店。それでも料理の軸が振れることがないのは、基本の技がしっかりとしているから。この先、この店からどんな料理が生まれるのか。そんな期待を寄せたくなる注目の一軒だ。 -
串駒 本店
- 味の決め手となる“いしり”は、能登半島に伝わるイカのワタだけで作った魚醤。そのままだと塩辛いが、粗くおろした大根おろしと合わさることで、驚くほどまろやかな味わいに変化する。「いしり鍋コース」は4,500円
- 十四代、奈良萬、天明など、東京でも限られた店でしか味わえない銘酒を飲み比べることができる
- 馬刺しは店主の故郷である熊本から直送。ほのかに甘い九州の醤油につけて食べれば、最高の酒肴になる
名だたる銘酒を引き立てる
酒肴の滋味深い味わい厳選日本酒を嗜む銘酒居酒屋の先駆けであり、日本酒通ならその名を知らぬ者はいない、といわれるほどの名店。供される料理はもちろん、日本酒の肴となることを前提につくられている。今回紹介する「いしりみぞれ鍋」も例外ではない。
スープは出汁や酒、味醂に能登半島に古くから伝わる魚醤“いしり”を合わせたもの。あえて香りの強い春菊、ニラを具材にすることで独特の香りがある魚醤を相殺し、深みのあるおいしさを演出している。その他の具材は、イカ、銀鱈、豆腐など。火を止める直前に粗くおろした大根を加えて、優しい甘みを加える。その滋味に満ちた味は、スープだけで酒が進むほど。味の染み込んだ具材も、それぞれが酒肴として存在感を放つ。銘酒居酒屋の名に違わぬ、上質な仕上がりだ。
風情ある店内で囲炉裏端に陣取る店主・大林禎氏の薀蓄に耳を傾けながら、銘酒と料理に酔いしれる。そんな贅沢な時間が、この店では夜ごと繰り広げられている。 -
横鍋JAPAN
- 「艶鍋」は、ぷるぷるのコラーゲンが固まった状態で運ばれてくるが、一旦、火を入れると香り立つまろやかスープに大変身。自家製のポン酢やすだち胡椒で味わいたい。
- 日本酒、果実スパークリングからワイン、焼酎まで、鍋のお供に楽しみたい、充実のお酒のラインナップ
- 北海道利尻産昆布を使ったスープに、キャベツを入れ、牛肉や豚肉に巻いて味わう“和牛炊きしゃぶ”
横鍋JAPAN
03-3398-7123 住所:東京都杉並区阿佐谷南3-37-11 スマイルホテル阿佐ケ谷1F
営業:18:00~翌2:00
休日:無休(年末年始はお休み)カウンターで突く
独創性溢れる鍋が人気「ふたりで横に並んで鍋を突くから“横鍋”。これだけでどんなお店かだいたい分かりますよね」
スタッフの方はそう笑い、オリジナルの『艶鍋』を運んでくれる。確かに店の大半はカウンター席で、ここに座り鍋を楽しむのが、阿佐ヶ谷「横鍋JAPAN」の基本スタイル。もちろん、テーブル席もあるので、3人以上でも鍋は楽しめるのだが、カウンター中心のこちらでは、圧倒的にカップルや女性同士のふたり客が多いという。“鍋は大勢で食べるもの”という既成概念はこの店ではもはや無用。少人数で独創性溢れるオリジナルの鍋をつつける店なのだ。
運ばれてきた名物の「艶鍋」は、福岡の水炊きからヒント得て、オリジナルに進化させたもの。2種類の鳥を丁寧に下処理して生み出すスープが命で、ぷるぷるの固形で運ばれるたび、客席からは歓声が沸く。まさに“艶スープ”の名に恥じぬ仕上がり。その臭みのないまろやかなスープに、大山どりやキャベツ、長ネギなどの具材を加え、鳥の旨味を凝縮した新たな鍋に。締めのフォーまで初めてづくしのスタイルにハマる人続出だ。 -
海鮮名菜 香宮
- 「おかゆスープの海鮮しゃぶしゃぶ」1人前7350円~(2人前より。写真は2人前)。この日の具材はアカハタをはじめ才巻エビ、ホッキ貝、ホタテ、白ミル貝などが登場。仕入れにより、メインの魚はハタやカサゴになることもある
- モダンでスタイリッシュな本格広東料理店で味わう鍋も乙なもの。個室も用意されているので、接待にも
- 広東料理界の気鋭シェフ・篠原裕幸氏。譚氏のもと赤坂璃宮で修業し、本場香港へ遊学した後、同店料理長に
海鮮名菜 香宮
03-3478-6811 住所:東京都港区西麻布1-4-44 シグマ西麻布Ⅱ1F
営業:11:30~L.O.14:00/17:30~L.O.22:00
休日:日曜 お店の詳細情報を見る白粥で海の幸をしゃぶしゃぶに
順徳の郷土鍋の優しき味わいくつくつと煮える白濁のスープに、アカハタの身を泳がせて十秒ほど。特製の醤油ダレにつけて口へ運ぶと、アカハタのプルンとした食感に続き、穏やかで淡泊な魚の旨みがじんわりと広がっていった……。
ここ「香宮」で楽しむのは、新鮮な魚介類を使った海鮮しゃぶしゃぶである。といっても、ダシを張った鍋で楽しむものとは違う。ダシの代わりに使うのは極めてシンプルな白粥で、広東料理のひとつ順徳料理の粥鍋をベースに仕立てたものだ。ダシを使わないがゆえ、魚介類そのものの善し悪しが鍋の大きなウェイトを占めるのは当然だが、だからといってタレで味を誤魔化すようなことはしない。一見、濃厚そうな醤油ダレも、香りにづけに青山椒のオイルを使うものの、仄かなアクセントを加えるのみ。丸みのあるまろやかな味わいは、そっと寄り添うように素材の味を引き立てている。それこそ、食材の持ち味を生かす広東料理の真骨頂といっていい。海の幸をテーマに掲げる「香宮」ならではの鍋。予約してでも試す価値がある。 -
東大門タッカンマリ 市ヶ谷店
- 「タッカンマリ(2~3人前)」3,400円。ハート型にカットしたジャガイモは同店のトレードマーク。運ばれてきた鍋を煮込み、琥珀色のスープの香りがゲストの食欲を掻き立てはじめる頃、スタッフがハサミで鶏肉を切り分けてくれる
- タッカンマリの命ともいえるスープのダシは鶏ガラとネギなどの野菜のみ。単純だからこそ誤魔化しはきかない
- 「ヤンニョムチキン」1羽2,780円(ハーフ1,580円)は、ビールとマッチする韓国で定番の骨付き唐揚げ
極上スープが紡ぎだす
鶏が丸ごと入った豪快鍋韓国・東大門周辺が発祥とされるタッカンマリとは、「鶏一羽」という意味の豪快な鍋料理。その名の通り、運ばれてくる鍋の中には鶏が丸ごと一羽が鎮座する。しかし見た目のインパクトとは裏腹に、その味わいは極めて繊細だ。
具材は丸鶏のほか、トッポキ、ジャガイモ、ネギと至ってシンプル。故にスープの出来や鶏の良し悪しこそが味を大きく左右するという。こちら「東大門タッカンマリ」のそれは、生で仕入れる国産ひな鶏のみを使用。弾力ある肉質とクセのない風味を実現するため、鶏は900g前後の大きさに限定。また、味のベースとなるスープは、鶏ガラとネギなどの野菜を一緒に火にかけ、とろ火で約6時間。沸騰させずゆっくり煮出すことで雑味のない極上スープへ繋がっていく。
タッカンマリは、お猪口に注いだこのクリアなスープの試飲から幕開け。鶏の旨みが凝縮した、淡麗な味わいこそが、店の絶対の自信。醤油、酢、辛子、タテギをブレンドしたタレで具材を食べ進み、〆に韓国麺を投入すれば、極上スープは余すところなく堪能でき、ぽかぽかの胃袋に幸せがこみ上げてくる。
※このページのデータは、2013年11月上旬取材時のものです。メニュー、営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。