1. ヒトサラ
  2. ヒトサラSpecial
  3. 食の都・福岡、新旧5名店を訪ねて

アジアの中心となる新食都 福岡の
新旧5名店を訪ねて
Hitosara special

鮨バブルに、注目の新店ラッシュ、
2020年にはアジアNo,1レストランのシェフもやってくる。
いま最も熱く、注目を集める食都であり、
地理的にもアジアの中心にある福岡。
そんな新食都で必ず訪れておきたい新旧5名店がこちら。

Photographs by Hiromasa Otsuka / Text by Shinji Yoshida
Design by form and craft Inc.

  • オーナーシェフの吉武広樹氏。2012年、パリ5区、ノートルダム寺院のすぐ近くに【Restaurant Sola】をオープン。
    その1年3ヶ月後にはミシュランの一ツ星を獲得した

    Restaurant Sola レストラン ソラ

    レストランの新たな可能性を見る
    フランス帰りのシェフによる挑戦

     昨今のレストラン事情に詳しい人なら一度は耳にしたことがある名かもしれない。吉武広樹氏。パリに店をオープンして1年ほどで一ツ星を獲得した【Restaurant Sola】のシェフである。その吉武氏が日本へと戻り、2018年12月、福岡にオープンした店が、この新生【Restaurant Sola】。しかし、吉武氏が店を構えたのは意外な場所だった。それは壱岐島やアジアへのフェリーが発着する、博多ふ頭にある建物の2階。もちろん、界隈が人々で賑わった20年前なら話は分かるが、いまのこの場所にフェリー乗り場以上の価値を見出して訪れる人は極めて少ない。が、そこに吉武氏の哲学はある。
     「周りの人たちが意味を見出せないものに、自分は価値を見出したいんです」
     それは料理への向き合い方にも通じている。たとえば、『鱒 truite』と題されたひと皿。宮崎県西米良産の鱒をマリネして軽く火入れした料理だが、その火入れに使うのが福岡県朝倉市から調達する薪。朝倉といえば、2017年の豪雨により甚大な被害を受けた地域で、今も完全復旧とはいかず、町には未だ災害ゴミがあふれている。その中にあるのがこの薪。他の人にすればただの災害ゴミだが、吉武氏には調理ツールになる。聞けば、この場所を選んだのにも、吉武氏の算段がある。
     「この海の向こうには、中国や台湾、韓国、香港が近くにあって、そこには同年代のいろんなシェフがいる。福岡という土地はまさにその中心にあるからこそ、コラボしたり、イベントを開いたりできる。ここをいろんな人たちが集まり、自由な表現をできる場所にしたい」
     博多ふ頭という場所で、動き出した新生【Restaurant Sola】。この店は、これからのレストランのあり方のひとつの理想形を示していた。

    • 『鱒 truite』。マリネした宮崎県西米良産の鱒を薪火で火入れ。生のリンゴ、千枚漬け風に仕立てた蕪、トンブリを合わせた。リンゴと蕪のソースを添えて
    • 『薪焼鮮魚 poisson』。この日はマトダイを薪火で焼き、ラルドで巻いてコクをプラス。付け合せは、薪火で焼いたそら豆、アスパラ菜など。炭化したネギのパウダーをふりかけた
    • ワインはシェフのパリ時代からの仲間である茂木氏がセレクト。ブルゴーニュ、ボルドーを中心としたフランスワインが9割を占める

Back to Top