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銀座大石 ぎんざおおいし
王道のフレンチを現代的に咀嚼し、
楽しくも身近な存在へと昇華するフレンチは楽しい! 2019年に誕生した【銀座 大石】で、思わず漏れた率直な感想だ。室内は白木のカウンターのみ。この事実だけで従前のレストランと全く異なることがわかるが、目の前で躍動するオーナーシェフの大石義壱氏が眩し過ぎる。
「テリーヌは本来、保存食ですから殺菌のために、塩は強め、お酒もいっぱい入れて、しっかり火を入れるのが基本です。しかし、私は塩を控えめにして酒は香り程度、火入れはジャスト。ほぼ毎日仕込んで、その日のうちに提供しています」
立て板に水の流暢さで料理を語る。食べれば説明に納得。一体感ある味わいは正統派だが、口当たりは滑らかで改めてテリーヌという料理の本来を知り、感激する。
「テリーヌは今、なくなりつつあるフランス料理。だからこそ、継承してつくり続けねばならないし、お客様にも食べ続けていただかないと。そう思っています」
大石氏は四谷【北島亭】で王道を貫く北島素幸氏の元で16年、右腕として務め上げた料理人。だから、「親父」と慕う師の教えを胸に刻みつつ、独立した意義を模索しながら、今日も己の料理と向き合っている。「変わらない良さ」と「変わることで生まれる良さ」のバランスを図りながら、明日のフレンチを志向している。
「親父と同じことばかりやっていてもダメですけど、全く違うことばかりでもダメ。ここが一番、難しいところですけど……、それがムチャクチャ楽しい!」
料理はおまかせコースのみだが、旺盛なサービス精神から全15品を提供。なかには、土鍋ご飯やカレーライスも含まれる。その間、大石氏はずっと快活に喋り続けている。「おいしいフレンチを食べるぞ」と肩肘張って来てみたら、この空気感。「すでにリピーターばかり」というのも大いに頷けるのだ。
新たな時代を生き抜く店はここ!
東京、いま注目の
新レストラン
Hitosara special
元号が変わり、まもなく一年が経とうとしている。
その間、どれほど多くのレストランが産声をあげてきただろう。
グルメバブルともいわれる群雄割拠の時代を生き残り、
令和という時代で愛され続ける店はどこか。
注目のフレンチから鮨、フュージョンまで、いま注目すべき店を取材した。
Photographs by Takuya Suzuki , Noriko Yoneyama , Shinjo Arai / Text by Itaru Tashiro , Ai Ozaki ,
Maria Kawashima
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