-
麻布十番 味はな あざぶじゅうばん あじはな
こだわったのは「無垢」であること
基本を大切にして生まれる至高卯の花やおから、きんぴら。そういった素朴な家庭料理を、料亭でも出せるような味付けに仕立てられなければ「和食」ではない――。そう語るのは【麻布十番 味はな】の料理長、西山道泰氏だ。18歳で料理の世界に飛び込み、和食一筋。長い料理人人生のなかで、常に大切にしてきたのが「無垢なもの」へのこだわりだという。食材一つとってもピュアなおいしさをとことん追求し、たとえば菊菜ならば「京都から西で採れたものでないとおいしくない」、「出汁に使う昆布は羅臼産」と長年付き合いのある農家や漁師から直接仕入れ。コースの箸染めに登場する『ぬた和え』には酢味噌の濃厚な味わいのなかに雪うるいや行者にんにく、赤貝など素材の瑞々しさが溢れ、純朴ながらも洗練された一皿に昇華されている。酒とて例外ではない。80種類ほど取り揃えるワインは、単一のブドウ品種からつくられるピュアなブルゴーニュを中心としたラインナップという徹底ぶりなのだ。
そんなワインと和食のマリアージュも実に魅惑的だが、やはり特筆すべきは日本酒とのペアリングであろう。監修するのは、店の前身である【渋谷 ふた味】時代から西山氏とタッグを組み、同じ麻布十番で日本酒BAR【赤星とくまがい】を営む、日本酒ソムリエの赤星慶太氏。月2回行われる試飲会を元に構成を組み立てるというペアリングで、素材の味を引き立て、なおかつ料理そのものをさらなる高みへと導く至福の掛け合わせを体感したい。
「基本の煮炊きものが一番大事。これが出来る人が本当に少ない」という西山氏。薄味ならば上品ということではない。素材を活かした上で、しっかりと味を、ちょうどいい塩梅で出さないといけない。これからは若い世代に、そういった技術を繋いでいきたいと頬を緩ませるその姿には、和食への深い愛が滲み出ていた。
新たな時代を生き抜く店はここ!
東京、いま注目の
新レストラン
Hitosara special
元号が変わり、まもなく一年が経とうとしている。
その間、どれほど多くのレストランが産声をあげてきただろう。
グルメバブルともいわれる群雄割拠の時代を生き残り、
令和という時代で愛され続ける店はどこか。
注目のフレンチから鮨、フュージョンまで、いま注目すべき店を取材した。
Photographs by Takuya Suzuki , Noriko Yoneyama , Shinjo Arai / Text by Itaru Tashiro , Ai Ozaki ,
Maria Kawashima
Design by form and craft Inc.
※営業時間、定休日などの情報は変更されることもございますので、あらかじめご了承ください。