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静岡のトップレストラン 全国の食通がいま、
静岡を目指すワケ
Hitosara special

いまレストランシーンを最も賑わせているエリアとは!?
そう食通に聞いて真っ先に挙がるのが、
静岡ではないだろうか。天ぷら、鰻、茶懐石にフレンチ……。
いまを面白くする静岡の5つのトップレストラン。
全国の美食家がいま静岡を目指す理由がここにある。

Photographs by Jiro Otani , Mami Hashimoto /
Text by Shinji Yoshida , Natsuki Shigihara /
Design by form and craft Inc.

  • 『アカハタのポワレ』。この日は相模灘で揚がったアカハタをルポゼして火入れして、皮目はカリカリに。
    アンチョビ風味のジャガイモと、バジルのピューレで甘味と塩味を、グリルしたケールで苦味を寄り添わせた

    Le Proust Miura

    食材と向き合える場所だからこそ
    選んだ、熱海という立地

     伊豆山に臨む西熱海別荘地という高台。あたりは明らかに都会とは異なる澄んだ空気に満ち、ビビッドな自然の香りが鼻腔をくすぐる。店内に入れば、大きく取られた窓の向こうに相模灘と初島の景色が映し出され、ゲストを歓迎する。

     オーナーシェフの三浦賢也氏は北海道出身。調理師専門学校卒業後、渋谷【ラ・ロシェル】で坂井宏行氏に師事し、その後、ひらまつグループに入社すると平松宏之氏の薫陶を受け渡仏。帰国後は【ブラッスリー ポールボキューズ 大丸東京店】【THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS熱海】で料理長を経験した。そして、2020年9月、【Le Proust MIURA】をオープン。まさに満を持しての独立だった。

     経験値、実績、技術••••••。東京でも、故郷の北海道でも独立するチャンスはあったはずだ。しかし、三浦氏が熱海という土地を選んだのはなぜか。
     「静岡は、意外とフレンチのイメージが少ないんです。数多のレストランがある東京でやっても埋もれる可能性もありますから」

     三浦氏はそう笑うが、【THE HIRAMATSU HOTELS & RESORTS熱海】時代に、この地で築き上げた生産者との関係値や、巡り合った豊富な食材は、少なからず三浦氏をこの地にとどまらせる要因になった。海では船に乗って伊勢海老漁も行い、ハンターと一緒に山に入りジビエの狩猟も経験した。だからこそ、三浦氏は食材を大切にする。シンプル・イズ・ベストを貫きながら、フレンチのシェフとしての仕事をそこにしっかりと落とし込む。

     店名のプルーストは、特定の香りから、それにまつわる過去の記憶が呼び覚まされる心理現象『プルースト現象』に由来。ここで経験する、自然の香り、そして料理の香り。訪れたゲストの記憶に刻み込まれるのだろう。

    • 熱海箱根峠線から脇道に外れた西熱海別荘地の一画、まさかという場所に一軒家レストランが現れる
    • シェフの三浦賢也氏。クラシックなフレンチをベースにしながらも、食材の魅力を引き出す仕事を信条とする
    • 野菜は三島の生産者から定期便で届くほか、富士宮の【アタボファーム】、熱海のしいたけ農園からも仕入れる
    足を運ぶべき理由

    料理のおいしさもさることながら、その料理と向き合う環境も相まってレストランの魅力は大きくなる。別荘地ならではの開放的なロケーションにある【Le Proust Miura】は、ゲストの心に確かな記憶を刻み込むレストラン。豊かな自然に抱かれ味わう食事は、この店へわざわざ足を運ぶ価値を教えてくれる。

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