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  3. 世界の食いしん坊が飛んでくる!スペイン・バスクの人気レストラン

世界中の食いしん坊が飛んでくる フーディが目指す
スペインバスクの
TOPレストラン
Hitosara special

2018年の【世界のベストレストラン50】にランクインした店が最多のスペイン。全7軒のうち、4軒がなんとバスク地方に集中。
今年【世界のベストレストラン50】に入った店と、ネクスト・スターの注目店を取材した。

Photographs by Yuji Ono / Text by Yukino Kanou / Coordinate by Junko Yamaguchi
/ Design by form and craft Inc.

  • スペインが誇るガリシア牛。30日間熟成させて旨味と風味を凝縮させたのち、リブロースを、熾火でじっくり焼き上げる。

    Asador etxebarri アサドール・エチェバリ

    人里離れた山奥で
    炎を自由自在に操る錬金術師

     真空調理にオイルバス。今や、厨房における加熱手段は実に多様化し、それらを駆使する料理人も多い。が、【アサドール・エチェバリ】のヴィクトル・アルギンソニス氏は、そんな科学の発展に背を向け、人間が太古から親しんできた“火”だけに向き合い、熾火にしたてて調理に利用する料理人だ。
     森林豊富なバスク地方では、伝統的に薪を利用した煮込みなどの料理が主だった。「熾火は、もっともナチュラルでエコロジカルな加熱法。立ち上がる薫香が肉や魚介、野菜や果物などの素材に自然と移って味を引き立て、最高の調味料になるんだ」とヴィクトル氏。厳選した楢や葡萄の木を、炉で焼いてあらかじめ熾火にしてから、オリジナルの調理台に移して利用。名物のガリシア牛を筆頭に、アングーラス(うなぎの稚魚)、タコ、アンチョビなどの魚介はもちろん、デザートのアイスクリームの香り付けにまでもこの調理火を利用する。
     熾火の量や熾火と焼き台までの距離を微妙に調整しながら熾火の火力を自由自在に操るヴィクトル氏の、火を見つめる目と手さばきは、さながら錬金術師だ。見ている我々を魅了する。他の店と同じ食材が、彼の手にかかると、プリミティヴで脳を直接刺激する、極上の味へとその姿を変貌させるのだ。
     いわゆるガストロノミー料理とは一線を画す、ヴィクトル氏にしか実現することができない料理の数々。その噂は世界中に広まり、いつしかビルバオからもサンセバスチャンからも離れた人里離れた山奥の村には、まるで聖地巡礼さながらに、世界中からフーディーたちが“エチェバリの料理”という唯一無二の体験を求めて続々と集まっている。

    • フランス・ゲランド産の海塩をたっぷり振って焼くガリシア牛。落ちた脂の香りは炎を介して再び肉に戻る。
    • 地中海沿岸パラモスで揚がる、指先ほどの小さなタコ。フライパン型の網にのせて、熾火で優しく加熱。
    • バスク地方名物『ココチャ』も、独創的。チタン製網を使い、熾火で“揚げ焼き”を実現。バスク伝統のピルピールソースを添えて。
    シェフのこだわり ヴィクトル・アルギンソニス氏

    子供の頃から、祖母や母が家族のために、熾火を使って焼き物や煮物を作るのを見てきた。バスク地方の伝統的な調理法は、今、僕の大切なアイデンティティ。自然界でもっともきれいな熱源で、日々料理に向きあっている。

Column

バスクで忘れてならない サンセバスチャンのバルホッピング

 連想ゲームで“サンセバスチャン”と問えば、かなりの確率で“バル”と答えが返ってくるだろう。
 旧市街を中心にずらり立ち並ぶ、バル、バル、バル! カウンターにぎっしりと、美味しそうなタパスやピンチョスを並べたバルは、今や、この街のアイコンだ。
 朝は、タパスをつまみながらのんびり軽口をたたき合うシニアたち。昼は、働者と観光客がひっきりなしに出入りして大賑わい。そしてバルが最も盛り上がる夜。通りにはバルホッピングを楽しむ人々が行き来し、調べておいたお目当ての店や、賑わいに惹かれて飛び込んだり。カウンターで立ち食いが基本のバル。居合わせた人々と、食いしん坊話題が始まるのもお約束。ここが最後の一軒、と決めていたのに、聞くからに美味しそうなバルが気になり、ついついホッピング続行。こうして、サンセバスチャンの夜は更けてゆく。

  • 大皿に盛られたタパスやピンチョスがぎっしり並ぶカウンターは、サンセバスチャンのバルの風物詩。あれも食べたい、これも食べたい!と悩みは尽きない。
  • 名物チーズケーキが大人気の【ラ・ヴィーニャ】。クリームチーズベースで、飽きのこない甘みとしっとりした口どけ感が抜群。テイクアウトする人も多い。
  • カウンターのタパスのみならず、料理も美味しい、と評判のバル【カーサ・ウロラ】。丁寧に料理された、地元の白アスパラガスやフォアグラに舌鼓。
  • バルの定番タパスの一つ、茹でて軽く酸味を効かせたタラコのピンチョは【バル・マルティネス】でも人気。チャコリにもシードルにもビールにもぴったりの味。

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