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  3. 世界の食いしん坊が飛んでくる!スペイン・バスクの人気レストラン

世界中の食いしん坊が飛んでくる フーディが目指す
スペインバスクの
TOPレストラン
Hitosara special

2018年の【世界のベストレストラン50】にランクインした店が最多のスペイン。全7軒のうち、4軒がなんとバスク地方に集中。
今年【世界のベストレストラン50】に入った店と、ネクスト・スターの注目店を取材した。

Photographs by Yuji Ono / Text by Yukino Kanou / Coordinate by Junko Yamaguchi
/ Design by form and craft Inc.

  • この夏の新作。緑野菜のジュレの上に、夏が旬の青魚、青りんごのシャーベット、トマトのエミュルジョンなどをあしらって。

    Azurmendi アスルメンディ

    食材を育む自然環境を見据え、
    レストランの新たな存在意義を追求

     食材に情熱を傾ける料理人は多いが、エネコ・アチャ・アスルメンディ氏は、食材自体だけでなく、自らが生きる自然環境への意識も非常に高い。そのため食材は、“環境の通訳者”と捉えている近隣の農家から仕入れる。そしてレストランの敷地内には種子バンクを併設し、希少な植物の保存に尽力している。さらには地熱発電システムを設置して自家発電を行い、雨水もリサイクル。厨房で出る生ゴミは、店内で肥料にし、自分の菜園やワインぶどう畑はもちろん近隣農家にも提供して、土に還す。
     そんなエネコの環境に対する強い意識は、ゲストが店に入るとまず導かれるアペリティフタイムに如実に表れている。店の入り口を入ったそこは、まるで森林の中。続いて案内されるのは、草木やハーブ、土などが飾られた庭園風なコーナー。そして最後は、広々として美しく整えられた厨房へ。豊かな大自然から厨房へ、と、食材が生まれてから料理になるまでに通る3つの空間で、アペリティフやアミューズをサービスし、ゲストの意識を自らが大切にする“環境”へと自然に誘う演出。今年の50ベストで“サスティナブル・レストラン”賞を獲得したのも、納得だ。
     「サスティナブルを行っていると、自然と、ソリダリティ(連帯性)に意識が向く。社会に知ってもらいたいのは、我々料理人の知識は、より良い社会を実現するのに役立つということ。今まで得てきた知識を社会に還元したい」と、近くの病院の食事を無料で開発したり、料理学校の生徒とのコラボにも積極的だ。“新バスク料理”の次世代料理人は、より自由に体系的に自分が信じる道を追求し、レストランの新たなスタイルを創造している。

    • ミニチュアの木々や畑などが置かれた、庭園風のアペリティフスペース。自家製シードルやカナッペをいただく。
    • 厨房でのアペリティフは、エネコが自らゲストにサービス。卵の黄身と黒トリュフのまろやかなクリーム。
    • バスク地方で獲れる山鳩。真空調理後プランチャでカリッと仕上げる。鳩のソース、焼きなすのピュレなどを添えて。
    シェフのこだわり エネコ・アチャ・アスルメンディ氏

    以前、料理人は料理や素材のことだけを考えていたかもしれない。けれど今は、それを取り巻く環境にも意識を向けてもいいのでは、と思っている。サスティナブルを大切にし、自分の知識を社会に還元しつつ、料理に取り組んでいきたい。

Column

バスクで忘れてならない サンセバスチャンのバルホッピング

 連想ゲームで“サンセバスチャン”と問えば、かなりの確率で“バル”と答えが返ってくるだろう。
 旧市街を中心にずらり立ち並ぶ、バル、バル、バル! カウンターにぎっしりと、美味しそうなタパスやピンチョスを並べたバルは、今や、この街のアイコンだ。
 朝は、タパスをつまみながらのんびり軽口をたたき合うシニアたち。昼は、働者と観光客がひっきりなしに出入りして大賑わい。そしてバルが最も盛り上がる夜。通りにはバルホッピングを楽しむ人々が行き来し、調べておいたお目当ての店や、賑わいに惹かれて飛び込んだり。カウンターで立ち食いが基本のバル。居合わせた人々と、食いしん坊話題が始まるのもお約束。ここが最後の一軒、と決めていたのに、聞くからに美味しそうなバルが気になり、ついついホッピング続行。こうして、サンセバスチャンの夜は更けてゆく。

  • 大皿に盛られたタパスやピンチョスがぎっしり並ぶカウンターは、サンセバスチャンのバルの風物詩。あれも食べたい、これも食べたい!と悩みは尽きない。
  • 名物チーズケーキが大人気の【ラ・ヴィーニャ】。クリームチーズベースで、飽きのこない甘みとしっとりした口どけ感が抜群。テイクアウトする人も多い。
  • カウンターのタパスのみならず、料理も美味しい、と評判のバル【カーサ・ウロラ】。丁寧に料理された、地元の白アスパラガスやフォアグラに舌鼓。
  • バルの定番タパスの一つ、茹でて軽く酸味を効かせたタラコのピンチョは【バル・マルティネス】でも人気。チャコリにもシードルにもビールにもぴったりの味。

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