バンコクのトップレストラン事情 ヒトサラ編集部が現地へと向かい、その目と舌で確かめてきたバンコクの美食店の数々。そこで感じ取ったリアルなバンコクのグルメシーンとは?

 今回、ヒトサラスペシャルの番外編として、シンガポールに続く第2弾で向かったのは、タイの首都バンコク。なぜ、このタイミングでバンコクかといえば、もちろんそれには世界的な権威でもある「アジアのベストレストラン50」の発表があったからに他ならない。そう2017年2月の最新の発表ではバンコクの8店ものレストランが名を連ねたのである。これは日本に次ぐ多さであり、アジアのグルメシーンに旋風を巻き起こしたといっても過言ではない数だ。実際、【Gaggan】は3年連続No.1。トップ5の【Nahm】もランクアップし、初登場のレストランも4店。バンコクの底力を見せつけた格好になった。そして、特筆すべきはその8店の多様性。タイ料理が3店並ぶものの、その他はモダンインディアン、フレンチ、ニュージャーマン、アジアンフュージョン…。これは一体何に起因するのだろうか?

 それにはバンコクがアジアのグルメシーンに大きな影響を与える存在になったとはいえ、まだアジアのトップにはいないことを示しているのではないだろうか。洗練という意味では前回のシンガポールに分がある、食の奥深さでは中国にも敵わない。もちろん、東京の総合力にも追いついていない。バンコクのグルメシーンは、まだ発展途上という都市の未完成度にも似た何かがあるのだ。だからこそ、バンコクはまだ何ものにも染まっておらず、語弊があるかもしれないが、怖いもの知らずのルーキーのようなフレッシュさが感じられるのだ。実際、取材して感じたのは、それぞれのレストランが色んな方向にベクトルを向けていることだ。【Gaggan】の自由度とエンターテイメント性はすばらしく、【Suhring】のファミリーを迎え入れるような温かさとニュージャーマン料理はバンコクのハイライトとなり、【Eat Me】の15年以上続けてきた前衛性にも驚かされた。その一方で【Nahm】【Bo.lan】などのように、タイ料理の原点に立ち返ろうとするレストランもあった。全体的に小さくまとまっておらず、レストランとしてのホスピタリティという意味では、やや荒削りな部分もあるが、そこを含めてのバンコクの魅力だといえるだろう。
 さて、2017年末には『ミシュランガイド』バンコク版の発刊も控えているそうだ。この勢いを持続し、バンコクがアジアのグルメシーンにどんな影響を与えていくのか。その動向からしばらく目が離せそうにない。

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