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  3. 北イタリアのトップレストラン6<ミラノから日帰りで叶う、エキサイティングな食体験>

ミラノから日帰りで叶う、
エキサイティングな食体験
北イタリアの
トップレストラン
Hitosara special

“世界一のレストラン”に輝き続けたモデナのレストラン【オステリア・フランチェスカーナ】ほか、
世界トップレベルのガストロノミ―レストランが集まる北イタリア。
クールで、アーティスティックでエキサイティングな新しいファインダイニングの体験を楽しみに、
今日も人々は、そのレストランを目指して旅に出る。
ミラノを拠点に、今、のりにのっている、レストランを取材した。

Photographs by Tadahiko Nagata / Coordination&Text by Masakatsu Ikeda / Design by form and craft Inc.

  • 『ラザーニャ・クロッカンテ』蝦片のような食感のノンフライ三色パスタは、
    一度ゆでたスパゲッティをシート状にのばしてからオーブンで焼いてあり、クリーミーなラグーソースにつけて食べる

    Osteria Francescana オステリア・フランチェスカーナ

    この店の席を目指して世界から予約が殺到
    モデナの観光名所となったガストロノミーの名店

     ここ数年、世界のファイン・ダイニング界はこのレストラン抜きに語れないだろう。2011年にミシュラン3ツ星、2016年、2018年には世界ベストレストラン50で世界一に輝いたマッシモ・ボットゥーラ氏率いる【オステリア・フランチェスカーナ】だ。大学卒業後に料理人の道を目指したボットゥーラ氏はモデナ郷土料理から始め、ニューヨークに渡ってイタリア料理店で働いた後はアラン・デュカス氏やフェラン・アドリア氏の元で修行。現在の独創的な料理は一時期「イタリア料理の破壊者」と呼ばれたこともあったが、多くの批判を実力でねじ伏せてきた遅咲きの苦労人だ。
     ボットゥーラ氏の料理は一見難解だがほとんどの料理は伝統的イタリア料理をベースにした新解釈だ。ボットゥーラ氏がつねづねいうのは「伝統料理は郷愁の眼差しでなく、批判的眼差しで見つめ直さなければいけない」ということ。つまりこの伝統的レシピは本当にこれでいいのか? と考え直すことが最も重要だ、と言い続けている。『ラザーニャ・クロッカンテ』もそうした料理のひとつで、これはボットゥーラ氏の少年時代、兄弟たちで争って食べたのはラザーニアの一番上の焦げてカリカリになった部分だったという思い出に由来。濃厚で重いラザニアを軽く、クリスピーなフィンガーフードに仕上げたものだ。
     また、ボットゥーラ氏は現代アートへの造形も深く、多くの作品から料理のインスピレーションを得ている。代表的なドルチェ『ウップス・落ちたレモンタルト』は、スタッフが盛り付けの最中に、タルトを落として割ってしまった時に生まれたアイディアで、ボットゥーラ氏は「いいじゃないか、そのまま盛り付けよう」とひらめいた。実はこれは中国の現代アーティスト、アイ・ウェイウェイ氏が漢時代の壺を落として割る、という作品がアイディアとなっていたのだ。
     今年の「世界のベストレストラン50」では殿堂入りを果たし、ランキング対象外となったボットゥーラ氏はモデナに対する郷土愛が非常に強い。料理にはバルサミコやパルミジャーノ、モルタデッラ、コテキーノなど地元の食材を多用するのはもちろんのこと、地元食材の素晴らしさを強調している。地方にこそ豊かな郷土料理や食材があるのがイタリア料理の特徴だが、まさにそうした多様性を表現、世界に発信しているのがマッシモ・ボットゥーラ氏なのだ。

    • 『パルミジャーノ・クリームのトルテッリーニ』さすがのボットゥーラ氏でも伝統的パスタはアンタッチャブルな存在。モデナ伝統の手打ちパスタ、トルテッリーニを最高級のパルミジャーノ・クリームと一緒に食べる。世界最高のトルテッリー二
    • 今年の夏の新作ドルチェは『冷たいババ』。甘いブリオッシュ生地にリモンチェッロをたっぷり含ませ、カスタードクリームとトマトを合わせた「ドルチェ・サラート」な味わい
    • 【オステリア・フランチェスカーナ】は全38席。これはボットゥーラの代表的料理の一つ『サイケデリック・ステーキ』の題材にもなった、ダミアン・ハーストの作品が飾られた部屋
    シェフの流儀 マッシモ・ボットゥーラ氏

    イタリア料理と日本料理は、食材重視という点で非常によく似ており、ソースが素材を隠してしまうフランス料理や中国料理とは異なる。だから日本人はイタリア料理が好きだし、私の元でも多くの日本人が働きましたがみな素晴らしい仕事をしてくれました。いまわたしはフードロスに取り組みチャリティ・レストラン【レフェットリオ】を世界で展開していますが、次は日本にもオープンできればいいですね。

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