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Le Calandre レ・カランドレ
史上最年少で3ツ星獲得
早熟の天才シェフが異彩を放つ2002年にマッシミリアーノ・アライモ氏は28才7ケ月という史上最年少で3ツ星を獲得、これは今だに破られていない記録だ。以来【レ・カランドレ】は17年連続で3ツ星を維持しているが、これはイタリアでは24年連続で3ツ星に輝く【ダル・ペスカトーレ】に次ぐ最長記録でもある。リータとエルミニオ・アライモ夫妻が営んでいた【レ・カランドレ】は当時1ツ星だった1994年に若き2人の息子たちに店を譲る。18才でシェフとなったマッシミリアーノ氏は自由な発想で独自の料理を創造する天才肌、一方兄のラッファエッレは実務的なマネージャータイプと、二人の個性を見極めていた両親の慧眼は見事にあたったのだ。
マッシミリアーノ氏の料理は彼の明るく、やんちゃな人柄をよく表している。彼が3ツ星を獲得した当時は少年のような風貌もさることながら、子供が画用紙に絵を描くような、自由な料理がイタリア中を魅了したのだ。それは45才となった今も変わらない。彼の料理はいつも楽しく、明るく、美しい。店の雰囲気も3ツ星とはいえカジュアルできさくな雰囲気。それは全てマッシミリアーノ氏の人柄ゆえだろう。
彼の代表料理に『カプチーノ・ムリーナ』がある。これはすでに20年近く作り続けている『イカスミのカプチーノ』を進化させた料理で、マスカルポーネとジャガイモのピューレの上にビーツ、ほうれん草、イタリアンパセリ、ウニなどのソースでヴェネツィアン・ガラスの代表的な文様「ムリーナ」を描き、下には温かいイカスミのスープをしのばせてある。息を呑むような美しさもさることながら、スプーンでそっと混ぜながら口に運ぶと、どこか懐かしい磯の香りが立ち上る。そう、これはヴェネツィアの魚市場の香りだ。見た目は現代アートのように斬新でも、味はきちんとしたクラシックなイタリア料理。マッシミリアーノ氏の遊び心の究極形ともいえる見立て料理だ。
「ゲストにメニューを説明する時間はわすか3分、しかしその3分はとても重要で、レストランとゲストとの出会いの時間なのです。わたしたちは技術や優秀さを誇示するのが仕事ではなく、ゲストにあった料理を組み立て、喜ばせるのが仕事なのです。」
見立て料理といえばもう一品『アランチーノ・フリアービレ=壊れやすいアランチーノ』を食べたが外見はシチリアのライスコロッケ、アランチーノにそっくり。ヒヨコ豆で作った衣は気持ちいいほどにサクサク。中にはリゾットを詰め込んだ料理なのだが、実は小麦粉を使わないグルテンフリーでもある。時にスナッキーな味でゲストを楽しませながらもヘルシーかつ現代的。素材に関しても常に時代を考え、現代イタリアでも深刻な社会問題となっているグルテン・アレルギー問題にも取り組んでいる。
常に食材が最優先、というマッシミリアーノ氏の最新のプロジェクトは農学者とコラボし、アフリカでイタリアの小麦や野菜、オリーブなどを栽培し、イタリア料理を通じて労働を生み出すとともにイタリア料理をアフリカにもひろめることだ。「シェフは料理を作っていればいいという時代は終わった。これからはシェフが考えてアクションする時代になる」とは「ガンベロ・ロッソ」の創設者である故ステファノ・ボニッリ氏の言葉だが、マッシミリアーノ氏はチャリティ・ディナーはじめ行動を起こすシェフとしても知られている。そうしたプロジェクトを陰日なたとなって支えているのがラッファエッレ氏であり、イタリア料理界最強コンビといわれるアライモ兄弟の、つまりは【レ・カランドレ】の強さなのだ。シェフの流儀 マッシミリアーノ・アライモ氏
史上最年少28才で3ツ星を獲得した天才マッシミリアーノ・アライモ氏は、45才となった現在もイタリアのトップを走り続けている。「食材には目に見えないものがあります。ミントの葉をにぎりつぶしたら葉はぼろぼろになるけれど香りは手のひらの中に残るでしょう?わたしはそうした目に見えない食材を大事にしたいのです。」
ミラノから日帰りで叶う、
エキサイティングな食体験
北イタリアの
トップレストラン
Hitosara special
“世界一のレストラン”に輝き続けたモデナのレストラン【オステリア・フランチェスカーナ】ほか、
世界トップレベルのガストロノミ―レストランが集まる北イタリア。
クールで、アーティスティックでエキサイティングな新しいファインダイニングの体験を楽しみに、
今日も人々は、そのレストランを目指して旅に出る。
ミラノを拠点に、今、のりにのっている、レストランを取材した。
Photographs by Tadahiko Nagata / Coordination&Text by Masakatsu Ikeda / Design by form and craft Inc.
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