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Yi イー
2人の若手シェフが生み出した
中国料理の最先端を味わいつくす!きらびやかな巨大カジノリゾートが並ぶコタイ地区でも、ひときわ目を引くのが故ザハ・ハディド設計の高層ホテル「Morpheus」。奇想天外で見事な世界観に浸る楽しさはエントランスをくぐり、21階に上がってレストラン【Yi】に足を踏み入れても、少しも衰えることがない。黄金に光る龍のウロコをイメージしたインテリアは、バカラの特注グラスや、淡いピンクの花とコーディネイトされて、意外なほどに優雅でフェミニン。龍に守られているかのように、各テーブルは半個室のような作りになっていて、落ち着いて食事に集中できる。
2018年7月のオープン以来、多数のリピーターを惹きつけている【Yi】の魅力は、中国料理店では珍しい、シェフおまかせの8品のコースメニュー。「おしながきを見ても、何が出てくるかは検討もつかないように、敢えて書いているんだ」と笑うのは、【Yi】を率いる2人のシェフの1人で、マレーシア出身のウィルソン・ファム氏。
ウィルソン氏と、香港出身のシェフ、アンジェロ・ウォン氏がタッグを組んで、厳選した地元と世界の食材を使い、広東、上海、潮州、四川、客家など、中国の多彩な地方料理のエッセンスを巧みに融合しながら再構築して生み出す、特定の地方料理の枠を遙かに超えた新感覚のクリエイティブ・チャイニーズが、この【Yi】の真骨頂。
たとえば「鳩料理の最高傑作」との呼び声も高いのが、代表料理ひとつ『鳩のレモングラスロースト』。この鳩、皮のカリッとした食感の後に、鳩の濃厚でレバー風の風味に、スモークの香ばしさとレモングラスの爽やかさが混ざり合って、鳩の肉のうま味が強烈に引き出されている。
その秘密は、世界中の鳩を試した末にシェフが選んだ、広東省中山市の名産・石岐鳩。この料理には生後23日の鳩がぴったりなのだそう。これをレモングラス入りの自家製タレ「滷水」でマリネし、酢を塗って8時間吊して乾燥熟成させ、ローストしてから高熱で揚げ、最後にレモングラスと一緒にスモークし、最後まで皮が破れないように仕上げる、というとにかく複雑な工程を完成させるまで、試行錯誤の末、半年以上の期間を費やしたという。「普通は大きい鳩を調理してカットするからジューシーさが逃げてしまうけれども、この鳩は小さめだからカットが不要。そのまま手で掴んで食べてみて」とアンジェロ氏。
スタートからフィニッシュまで、最先端の中国料理の美味しさを最大限に発揮させた、斬新なるご馳走がひたすら続く【Yi】。迫力たっぷりのザハの建築に引けを取らない、新世代チャイニーズを堪能しに出かけよう。シェフの流儀 ウィルソン・ファム氏(左)
アンジェロ・ウォン氏(右)1つの料理に複数の地方料理の要素を混在させながらも、それぞれのアイデンティティをしっかり保つことを重視している。そのため、ウィルソン氏は客家系マレーシア人、アンジェロ氏は潮州系の香港人として、広東、客家、潮州、東南アジアの味覚を担当。そのほかに上海、台湾、四川など、中国のさまざまな地域出身のシェフを集めたチームで料理をつくるので、それぞれの地方料理の味がぶれず、まとまりのある美味しさを生み出せる。
進化し続ける食の都の最前線
マカオの
TOPレストラン
Hitosara special
元ポルトガル領のひなびた港町からアジア屈指のカジノリゾートへ。
そんなマカオにいま、世界最高峰の味覚が集結中。
空間も料理も桁違いの迫力にあふれるマカオの食を体験して欲しい。
Photographs by Billy Ha, Takuya Suzuki / Text by Miyako Kai, Taketoshi Onishi /
Cordinate by Miyako Kai / Design by form and craft Inc.
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