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Alleno Paris - Pavillon Ledoyen アレノ パリ パピヨン ルドワイヤン
パリの歴史を数世紀にわたって見つめてきた
美しきレストランの新たな黄金期シャン・ゼリゼ大通りの中程、緑豊かな木立に囲まれた瀟洒な館がある。【パヴィヨン・ルドワイヤン】だ。その歴史を18世紀にまでさかのぼる、パリの歴史的建造物。この場所に、革命時にはロベスピエールが顔を出し、19世紀にはナポレオンがジョゼフィーヌと出会い、20世紀になると印象派の画家たちが集った。この館は、パリの歴史を見つめ続けてきたのだ。
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20世紀後半から、レストランとしての名声が高まり、ジスレーヌ・アラビアン氏、クリスチャン・ル=スケール氏というトップシェフの手を経て、2014年からは、現代フランス料理界を代表する実力派料理人、ヤニック・アレノ氏が経営。【アレノ・パリ パヴィヨン・ルドワイヤン】として、由緒ある館に新たな黄金期をもたらしている。
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パラスホテル「ル・ムーリス」を3ツ星に導き、一躍ガストロノミー界の頂点に躍り出たアレノ氏。超一流ホテルのシェフという安泰の地位を辞して自らの冒険に乗り出し、1年目から3ツ星を獲得する順風満帆ぶりがうかがえる。2017年には、10年ほど前からフレンチアルプスのリゾート地クーシュヴェルのラグジュアリーホテルで手がける【ル・1947】も3ツ星の栄誉に輝き、アレノは、史上初のフランスで2つの3ツ星を獲得する料理人となり、名実共に、フランス料理界を代表するトップシェフとなった。
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自分の城でアレノ氏が目指すのは、クラシックなフランス料理のコンテンポラリー化。もともと伝統的なソースの達人としてその名を馳せていた料理人だが、ソースというフランス料理の真髄を、現代の嗜好に合わせ、味のインパクトは保ちつつより軽やかに進化させる研究を、この10年来行っている。その実現を可能にする研究成果が、“食材の抽出液(エクストラクション)”と“発酵”だ。
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トマトやセロリ、きのこなどの食材に、必要なら水を足し、それぞれの食材に最適な温度で加熱して遠心分離にかけることで、食材の成分が濃縮した液を抽出。油脂分を使うことなく、深みとインパクトのある味を描きだすことができる。さらに、「発酵食品にはエネルギーがあり、テロワールを表現する力がある」と捉え、抽出液に少量の発酵食品抽出液を加えることで、ごく少量で強い印象とエネルギーを持つソースを生み出すことができるのだ。
ソースの歴史に新たな一章を加えつつあるアレノ氏のアプローチ。クラシックな美味しさのなかに潜みつつ、食べ手に深い感動を与えるアレノ氏ならではの、技術と表現の妙。同じ時代を生きることに感謝したい料理人の一人だ。
シェフの哲学 ヤニック・アレノ氏
フランス伝統料理を深く学び、その素晴らしさを長年表現してきています。今そこに、私なりに開発解釈した“現代風ソース”の要素を加えることにより、深みを保ちつつ軽やかでヘルシーなフランス料理を考案しています。
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Column
2018年世界のベストレストラン50で
ベスト・パティシエに選ばれた
セドリック・グロレ氏にインタビュー
インスタグラムのフォロワー数、100万越え。
【ル・ムーリス】シェフ・パティシエとして活躍する
セドリック・グロレ氏は、今、世界中が注目するパティシエだ。
世界から熱い視線が注がれる、【ル・ムーリス】のシェフ・パティシエ、セドリック・グロレ氏。彼のスペシャリテは、様々なフルーツの形を極薄のホワイトショコラで精密に再現し、そのフルーツのおいしさをジュレやコンフィなどに仕立てて内部にたくみに仕込んだ、”フルーツ”シリーズ。「季節が私を導いてくれます」と語るセドリック氏。四季折々の極上フルーツにインスピレーションを受けたこのシリーズは、美しいヴィジュアルと、シンプルかつ印象的な風味で、食べ手に大きな感動を与える。
ミルフイユやパリブレストといったクラシックなフランス菓子も、彼のもう一つのスペシャリテ。「形や風味は変えない、でも素材にこだわりぬき、一つ一つのパーツを研ぎ澄ませています」。彼の伝統菓子を食べると、その完成度の高さに、ミルフイユやエクレールはこんなにおいしいものだったのか? と、ため息がでる。
ファインダイニング【ル・ダリ】で提供するアフタヌーン・ティも人気だが、2018年春にはホテル内にパティスリーを併設し、店の前には日々長蛇の列。今、パリで最も熱いスイーツスポットになっている。