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マラルンガ鉄板焼 マラルンガてっぱんやき
京の料理人が南の島で辿り着いた
五感を揺さぶる島の味わいよく「宮古島には四季がない」と言われるが、それは春夏秋冬の境を感じにくいからであって、無論、季節がないわけではない。しかし、【マラルンガ鉄板焼】のシェフ・花岡秀隆氏も、宮古島に来た当初、この季節感の希薄さに愕然としたという。
「1年中葉っぱは青々としているし、2月に秋桜が咲いてるんですよ。目眩がしました」
今でこそ笑って見せるが、その戸惑いは想像するに難くない。なにしろ、花岡氏が料理人としてのキャリアをスタートさせたのは京料理の老舗。四季折々の旬を何よりも重んじる、和食の世界に長年身を置いてきたのだ。
43歳にして初めて関西以外で、しかも宮古島のリゾートホテルの鉄板焼店で働くというのは一世一代の大決断だった。しかし、迷いよりも一料理人として、宮古島の食材への純粋な好奇心が上回った。ゴーヤやオオタニワタリ、宮古ゼンマイといった彩り豊かな島野菜に、近海で獲れる新鮮な魚介類。食材にふれあい、調理していくなかで、一見すると分かりづらい、宮古島の旬も見えてきた。
素材そのものの旨みをダイレクトに感じてもらうため、野菜はさっと焼き上げ、宮古島産の雪塩やアグー豚を使った肉味噌を添えてシンプルに。メインは、宮古島内だけで月10頭ほどしか流通せず、“幻の和牛”と称される宮古牛。本州の牛と比べるとサシの入りが少なく、さっぱりとした食べごたえ。噛みしめるほどに染み出るその独特の肉の甘みの秘密を、「ミネラル豊富な島の水を与えられて育つからかもしれない」と花岡氏は教えてくれた。
パチパチと脂の弾ける鉄板の上で、肉厚なシャトーブリアンを切り分けながら、花岡氏は続けた。
「お客様との交流も鉄板焼の魅力の一つ。珍しい食材を目の当たりにした驚きから会話が生まれる。そこから宮古島の食材の滋味深さを伝えていければ」
「冬はいみじうさむき。夏は世に知らず暑き。」
かつて枕草子のなかでそう詠われた京の都から、常夏の宮古島へ。花岡氏もまた、すっかり島に魅入られた料理人の一人なのだ。
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