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新しいレストランの形がここに! 名店のニューノーマル Hitosara special

外食のあり方が問われるなか、多くのレストランがいま、試行錯誤をしている。
どんな状況下でも、リスクを減らし、食べに来てくれる人をもてなし、
最高の料理で幸せを感じてもらおうとできる限りの対策を施し、営業をするレストランがある。
これからのレストランのスタンダードになるであろう、ニューノーマルな5つの名店を紹介する。

Photographs by Takuya Suzuki , Jiro Otani , Noriko Yoneyama , Shinjo Arai
Text by Natsuki Shigihara , Itaru Tashiro , Ayano Yoshida , Maria Kawashima
Design by form and craft Inc.

  • 料理長・川瀬泰男氏が豆腐料理の老舗【豆水楼】で腕を振るっていた経験から生まれた『自家製胡麻豆腐の揚げ出し』。
    サクッと揚げられた生湯葉の中から胡麻豆腐が溶け出すと、上品な胡麻の風味が広がる。だしと絡むとその甘みがいっそう際立つ

    美会 びあ

    日本の料理人を愛する美食家が
    その敬意を形にした和食店

     日本一の美食の街・銀座。7丁目の路地裏にぽつんと佇む純和風の古民家が【美会】に生まれ変わったのは、2020年6月8日のこと。引き戸をくぐると迎えてくれたのは、国内の錚々たる料亭、レストランから届いた開店祝いの花の立て札。そして、タイ出身のビア氏こと、この店の主人だ。
     ビア氏は、日本全国の美味を求め、毎日外食をする美食家で、同じフーディや料理人からも知られる存在。「日本の職人の文化が大好きで、職人としての料理人に憧れがあります。彼らは、『お客様を幸せにするため』『伝統を守るため』など、お金や自分自身のためだけでなく、たくさんの想いを持って料理をつくっている。そんな姿勢が好きですね」と語る。料理人との交流を楽しみ、敬意を払っているからこそ、ビア氏と料理人との間には深い関係が構築されているのだ。
     そんなビア氏が店をオープンするということで、多くの料理人が駆けつけた結果が、冒頭の立て札に現れている。また、彼らのビア氏を応援したいという気持ちから、とんかつの名店【成蔵】が「ポークカレー」、【鮨 あらい】は「鮟肝奈良漬」と、名だたる名店がメニューを提供、ここでしか楽しめない味が加わった。
     おまかせコースは、オリジナルの日本料理がベース。京都の老舗懐石で修業を始め、京料理の有名店や豆腐懐石で研鑽を積んだ川瀬泰男氏を料理長に迎え、ミシュランの星を獲得する鮨店がつかうマグロや料亭御用達の京野菜など、全国からビア氏が厳選した食材を、経験に裏打ちされた川瀬氏の技術で仕上げる。アラカルトでも楽しめるため、2次会利用やワインバーのような使い方も可能だ。
    「交流ができる“会える”お店にしたいから、遅い時間まで楽しめるようにしています。今後は、生産者や地方の料理人を呼んでイベントもしたいですね」とビア氏。日本の料理人から感じた、“自分以外のために働く”職人としての姿勢を【美会】で継承していくつもりだ。

    • 「仕事終わりの料理人にも来てほしいから、店が落ち着いたら営業時間を延ばしたい」と意気込むビア氏。人懐こい笑顔が印象的だ
    • 席は2階の個室4部屋のみ。外国人客にも喜んでもらいたいと、富士山を描いた絵画や金箔の壁など、日本らしさを詰め込んだインテリア
    • とんかつの名店【成蔵】がつくった『TOKYO Xスパイスポークカレー』。バラ、ロース、ヒレ筋を一晩マリネし、3時間以上煮込む
    • 京都の料理店で使う規格の賀茂茄子などの京野菜や、希少な白甘鯛、上質なジビエなどが仕入れられるのもビア氏の人徳による
    名店のニューノーマル

    スタッフと客の検温や手洗い、消毒を徹底している。また、一軒屋のため、窓からのこまめな換気ができるのも特徴。すべて完全個室の予約制の上、入店時間が重ならないように調整するなど、他のグループの客同士が接触しないように、工夫して営業している。

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