1. ヒトサラ
  2. ヒトサラワールド
  3. 今こそ、パリのグランメゾンへ

サービス・雰囲気・
極上の料理が待っている
今こそ、
パリのグランメゾンへ
Hitosara special

エレガントな空間、極上のサービスに、世界トップクラスのシェフたちの料理。
パリの美食の真髄を味わうならば、やはりグランメゾンでの体験に勝るものはない。
長年愛されている店から、ここ数年で注目株まで、今行くべきグランメゾンを取材した。

Photographs by Taisuke Yoshida / Text & Coordinate by Yukino Kano
Design by form and craft Inc.

  • エストラゴンの香りをまとわせた鳩のロティール、ビーツのピュレ。胸肉には、シェリーヴィネガーと鳩のジュをソースに。
    腿肉はサラダ仕立て、肝は発酵コショウを香らせ茶碗蒸し風に

    Alleno Paris - Pavillon Ledoyen アレノ パリ パピヨン ルドワイヤン

    パリの歴史を数世紀にわたって見つめてきた
    美しきレストランの新たな黄金期

     シャン・ゼリゼ大通りの中程、緑豊かな木立に囲まれた瀟洒な館がある。【パヴィヨン・ルドワイヤン】だ。その歴史を18世紀にまでさかのぼる、パリの歴史的建造物。この場所に、革命時にはロベスピエールが顔を出し、19世紀にはナポレオンがジョゼフィーヌと出会い、20世紀になると印象派の画家たちが集った。この館は、パリの歴史を見つめ続けてきたのだ。

    • 極上のムール貝を、セロリオイルとマスタードソースで。ムールの汁でつくったアイスクリームとトマトベースのクーリ、きゅうりの発酵塩漬けなどを添えた前菜

       20世紀後半から、レストランとしての名声が高まり、ジスレーヌ・アラビアン氏、クリスチャン・ル=スケール氏というトップシェフの手を経て、2014年からは、現代フランス料理界を代表する実力派料理人、ヤニック・アレノ氏が経営。【アレノ・パリ パヴィヨン・ルドワイヤン】として、由緒ある館に新たな黄金期をもたらしている。

    • フワンスの高級車ブランド、DSオートモビルズとコラボしてこの夏に完成した最新鋭の美しい厨房。厨房横に、モエ・エ・シャンドンとコラボしたシェフズテーブルもある

       パラスホテル「ル・ムーリス」を3ツ星に導き、一躍ガストロノミー界の頂点に躍り出たアレノ氏。超一流ホテルのシェフという安泰の地位を辞して自らの冒険に乗り出し、1年目から3ツ星を獲得する順風満帆ぶりがうかがえる。2017年には、10年ほど前からフレンチアルプスのリゾート地クーシュヴェルのラグジュアリーホテルで手がける【ル・1947】も3ツ星の栄誉に輝き、アレノは、史上初のフランスで2つの3ツ星を獲得する料理人となり、名実共に、フランス料理界を代表するトップシェフとなった。

    • ぶどうの抽出液やスパイス、赤ワインで二日間じっくりポジェしたイチジクは、とろけるような食感と複雑な香り。カレー風味のアイスクリーム、ミルククリームを添えて

       自分の城でアレノ氏が目指すのは、クラシックなフランス料理のコンテンポラリー化。もともと伝統的なソースの達人としてその名を馳せていた料理人だが、ソースというフランス料理の真髄を、現代の嗜好に合わせ、味のインパクトは保ちつつより軽やかに進化させる研究を、この10年来行っている。その実現を可能にする研究成果が、“食材の抽出液(エクストラクション)”と“発酵”だ。

    • アレノの料理を個性的に仕上げる、「エクストラクション」。セロリ、イチゴ、マッシュルーム、トマトなど、様々な野菜や果物の水分や風味を遠心分離機どで抽出し、ソースなどのアクセントに使う

       トマトやセロリ、きのこなどの食材に、必要なら水を足し、それぞれの食材に最適な温度で加熱して遠心分離にかけることで、食材の成分が濃縮した液を抽出。油脂分を使うことなく、深みとインパクトのある味を描きだすことができる。さらに、「発酵食品にはエネルギーがあり、テロワールを表現する力がある」と捉え、抽出液に少量の発酵食品抽出液を加えることで、ごく少量で強い印象とエネルギーを持つソースを生み出すことができるのだ。
       ソースの歴史に新たな一章を加えつつあるアレノ氏のアプローチ。クラシックな美味しさのなかに潜みつつ、食べ手に深い感動を与えるアレノ氏ならではの、技術と表現の妙。同じ時代を生きることに感謝したい料理人の一人だ。

    • 歴史的建造物らしい、典雅な美を持つ広々とした客席。大きな窓の向こうは、シャン・ゼリゼ大通り。「ここは私の夢の家。この素晴らしい館に、新たな命を吹き込みたい」とアレノ氏
    シェフの哲学 ヤニック・アレノ氏

    フランス伝統料理を深く学び、その素晴らしさを長年表現してきています。今そこに、私なりに開発解釈した“現代風ソース”の要素を加えることにより、深みを保ちつつ軽やかでヘルシーなフランス料理を考案しています。

Column

2018年世界のベストレストラン50で
ベスト・パティシエに選ばれた セドリック・グロレ氏にインタビュー

インスタグラムのフォロワー数、100万越え。
【ル・ムーリス】シェフ・パティシエとして活躍する
セドリック・グロレ氏は、今、世界中が注目するパティシエだ。

世界から熱い視線が注がれる、【ル・ムーリス】のシェフ・パティシエ、セドリック・グロレ氏。彼のスペシャリテは、様々なフルーツの形を極薄のホワイトショコラで精密に再現し、そのフルーツのおいしさをジュレやコンフィなどに仕立てて内部にたくみに仕込んだ、”フルーツ”シリーズ。「季節が私を導いてくれます」と語るセドリック氏。四季折々の極上フルーツにインスピレーションを受けたこのシリーズは、美しいヴィジュアルと、シンプルかつ印象的な風味で、食べ手に大きな感動を与える。
 ミルフイユやパリブレストといったクラシックなフランス菓子も、彼のもう一つのスペシャリテ。「形や風味は変えない、でも素材にこだわりぬき、一つ一つのパーツを研ぎ澄ませています」。彼の伝統菓子を食べると、その完成度の高さに、ミルフイユやエクレールはこんなにおいしいものだったのか? と、ため息がでる。
 ファインダイニング【ル・ダリ】で提供するアフタヌーン・ティも人気だが、2018年春にはホテル内にパティスリーを併設し、店の前には日々長蛇の列。今、パリで最も熱いスイーツスポットになっている。

  • 世界中からマスタークラスやデモンストレーションに招聘されるセドリック氏。「旅で出会う料理や食文化にも大きなインスピレーションを受けます」。
  • 【ル・ムーリス】のアフタヌーン・ティ。パティスリーやタルト、スコーン、クッキーなど、セドリック氏自慢のお菓子を味わいながら過ごす、幸せな午後。
  • セドリックの名前を世界に広めた“フルーツ”シリーズの定番、『レモン』。本物かとみまごう精巧な作り。ブティックでは、オリジナルの美しいボックスに入れて販売。
  • ブティックでは、パティスリーのほか、マドレーヌやクグロフ、クッキーなどの焼き菓子も販売。オーヴンを併設してあり、焼きたてお菓子のいい匂いが店内に漂う。

Back to Top