1. ヒトサラ
  2. ヒトサラワールド
  3. タヒチの最新TOPレストラン

青い海、青い空、豊かな自然
南国の風を感じる忘れられない食体験
タヒチの最新TOPレストラン Hitosara special

常夏の楽園タヒチが食材の宝庫であることはあまり注目されてこなかったが、
パイナップルやバニラ、ブルーシュリンプといった名産品に溢れている。
そんなタヒチの食材とトップシェフたちが化学反応を起こし、
タヒチは今、「ポリネシアンガストロノミー時代」を迎えている。

Photographs by Teiki Dev / Text by Murata Ryusuke
Design by form and craft Inc.

  • 地元客から愛されている人気のステーキハウスのシェフがステファン・エラダさん。
    家庭でも外食でも愛されている親しみのある料理にシェフの技をフュージョンし、自分流にアレンジしている

    Cali.stro カリストロ

    ジューシーな絶品ステーキが名物
    タヒチ感溢れるフュージョンステーキハウス

     地物の青果や鮮魚に土産物も揃うマルシェや、おじさんたちのウクレレの演奏もあって賑わいを見せる首都・パペーテ。特に中心部は南国色に溢れた世界観が広がっているため【Cali.stro】のシックな外観はかえって異彩を放っているように映る。アメリカンビンテージ調の空間にはビジネスマンや、民族衣装のパレオをモダンに着こなした女性の姿があり、タヒチでもここでしか感じることのできない独特の空気感に期待が膨らむ。
     スペシャリテである骨付き『リブローストマホークステーキ』は存在感があり、肉好きにはたまらないストロングなフォルムだが、「食らいつく」というよりも「いただく」と表現したくなるほど上品な味わい。
    使用するのは優良品種として知られるニュージーランド産アンガス牛。火入れに非の打ち所がなく、分厚いステーキはどこからアタックしても柔らかく、肉の旨みを最大限に堪能することができる。
     ウマラと呼ばれるタヒチ産サツマイモのフリットも絶品でカリッ!ふわっ!とした独特の食感。優しく絶妙な塩加減が食材本来の糖度の高さを存分に引き出しており、ついつい手が止まらなくなる。
     フランス人シェフのステファン・エラダ氏が定義する【Cali.stro】のスタイルはフュージョンステーキハウス。料理に対して真摯に向き合う姿からは口数の少なそうな職人気質を感じさせるシェフだが、話し始めると物腰が柔らかく、慎み深さが印象的な人柄である。
     ステーキとは対照的に『タヒチアンスタイルサーモン』はフェミニンで華やかな装い。タヒチの料理業界で流行の兆しを見せているブルーシュリンプは主役のサーモンにも引けを取らない。ピーナッツバターでソテーされたポタは、タロイモの若葉で、ホウレンソウに似た味わい。ココナッツミルクとレモングラスの掛け合わせと数滴のセサミオイルが食材全体に締まりを生み、ソースの淡い酸味と野菜の甘みがサーモンとあいまって心地よさを感じる一品だ。
     最後に紹介したいのはタヒチの代表的なローカルフードをフュージョンさせた『イリノイスタイルのポワソンクリュ』。フランス語で直訳すると「生魚」という意味のポワソンクリュはタヒチの食事を語るうえでは欠かせない。
     ライムでマリネしたマグロを紫タマネギ、ニンジン、トマト、ジンジャーコンフィなどの野菜とココナッツミルクで和えたものに、自家製ポップコーンとボイルコーンをデコレーションし食感をプラス。料理名はトウモロコシの生産で知られるアメリカ・イリノイ州へのオマージュ。「食材を変化させ、洗練させていくイノベーションの過程に料理人としての喜びを感じています」というシェフの言葉は確実にプレートの上で具現化されている。

    • 強火で豪快ながらもプロの技を感じさせる焼き加減で提供されるニュージーランド産のアンガス牛のステーキはとてもジューシー。付け合わせのサツマイモのフライドポテトが甘塩っぱく、ステーキの箸休めにぴったりだ
    • 紅ショウガの「酸」のアクセント、ポップコーンの「食感」のアクセントが他のお店とは一味違う『ポワソンクリュ』。【Cali.stro】に来店したらこちらも外せない逸品だ
    • タヒチの海の幸が詰まった一品。タヒチのサーモンは食感が柔らかく、ブルーシュリンプはプリップリ。素材の身の甘さが、ココナッツソースとよく合う。
    シェフの流儀 ステファン・エラダ氏

    フランス・アビニョンの料理学校通い、クラシック、ガストロミーを学ぶだけでなく、ワインの勉学にも努めた勉強熱心なシェフは、タヒチに来て早20年が経つ。「ポリネシアの文化が好き」という気持ちを大切に、クラシック、ガストロミーなど色々な経験をしたからこそ表現できる新しいステーキハウスを目指している。シェフの探求心はまだまだ尽きない。

Back to Top