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青い海、青い空、豊かな自然
南国の風を感じる忘れられない食体験
タヒチの最新TOPレストラン Hitosara special

常夏の楽園タヒチが食材の宝庫であることはあまり注目されてこなかったが、
パイナップルやバニラ、ブルーシュリンプといった名産品に溢れている。
そんなタヒチの食材とトップシェフたちが化学反応を起こし、
タヒチは今、「ポリネシアンガストロノミー時代」を迎えている。

Photographs by Teiki Dev / Text by Murata Ryusuke
Design by form and craft Inc.

  • タヒチ生まれタヒチ育ちのファブリス・メテ氏。
    「生まれ育った街を一望できるレストランをつくりたい」と、タヒチの中心街から少し離れた山の上でレストランを営んでいる

    L’Auberg’in ロベルジン

    タヒチアンが奏でる
    アットホームな無国籍フュージョン

     「高校を卒業してからどんな仕事に就こうかと考えていたときに、料理だったらできるかもしれないと思い、専門学校に通い始めました」。名立たる有名レストランで修業を積み、満を持してタヒチにやってくるフランス出身のシェフが多いなか、ファブリス・メテ氏は地元タヒチの出身。最初の言葉からも汲み取れる通り、マイペースな29歳の若手シェフには気負いも一切感じられない。
     「母親の料理がずっと好きで…」とシェフが話しているとプレートを下げに来た女性。「息子みたいな洗練された料理ではなくて、いわゆる家庭料理を作っていただけです」と控えめに語ってくれたのはシェフのお母様だった。
     地元の料理専門学校を卒業後は、映画祭でも知られるカンヌに位置するホテル・マルチネーズのレストランで研鑽を積み、タヒチに戻ってからは地元の名店として知られる【Le Velvet】の創設期をスーシェフとして支えた。
     「基礎となっているのはクラシックフレンチですが、【L’Auberg’in】ではジャンルの定義付けはしていません。季節の食材や、仕入れた食材を最高の状態で召し上がっていただくことを重要視しています」。
     その言葉通り、前菜として登場したのは『エキゾチックなオペラ・ド・フォアグラ』という世界的にも知られるタヒチ産のバニラの香りを纏ったフォアグラのテリーヌだ。フォアグラと相性のいいスパイシーブレッドのような味わいに仕上げられた層はマペと呼ばれるタヒチアンマロン。地元では子どもから大人までおやつとして認知されている。そして、フルール・ド・セルと呼ばれる数粒の塩が甘みを引き出しつつ、パッションフルーツ&マンゴーシャーベットの爽快な酸味が全体を整える至極の一品だ。
     さらに紹介したいのが『イベリコ豚のシャオパオ』。タヒチは人口の5%が華僑といわれ、中華料理は食生活の一部として市民権を得ているタヒチ。生地に米粉をブレンドし、しっとりとした仕上がりの蒸しパンと、角煮のように柔らかく煮込まれたイベリコ豚。主張しすぎない洗練されたシャオパオからシェフの粋と遊び心が感じられる。
     デザートはニュージーランド発祥のスイーツ『パヴロヴァ』。バレエの衣装、チュチュをイメージして作られたデザートのクーリにもマンゴーとパッションフルーツを使用し、ヘビーになりがちなフレンチのデザートを軽やかに仕上げている。
     「タヒチアンの自宅に招かれたかのような雰囲気の中で料理を楽しんでいただける空間を提供したかったのです」というシェフが、プール付き一軒家の邸宅を改築しオープンさせた【L’Auberg’in】はタヒチの食通のみが知る隠れ家レストラン。目の前に広がるタヒチの海、植物、そして料理は旅の思い出を色濃く鮮やかにしてくれることだろう。

    • 前菜の『オペラ・ド・フォアグラ』。バニラやマンゴーを感じるエキゾチックな味わいがフォアグラと相性がいいことに気付かされる。付け合わせのパンと一緒に食べるとまた違ったおいしさが楽しめる
    • 中華パン『パオ』を再構築した料理。中華とタヒチが融合した、ジャンルレスなシェフだからこそ作れる逸品だ。生地の部分は米粉も混ざっていてふっくらと、そしてややもっちりとしている
    • スプーンを入れるとサクっとほどけるメレンゲ。パッションフルーツのソースが全体をさわやかにまとめ上げる
    シェフの流儀 ファブリス・メテ氏

    クラシックフレンチを軸にしたジャンルレスな料理を提供しています。フレンチ、中華、和食といったジャンルに縛られずに仕入れた食材を最高の状態で提供することを一番に心がけています。

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