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Ristorante Cracco リストランテ クラッコ
現代イタリア料理界のエース
カルロ・クラッコ氏注目の新店“マルケージ以降のイタリア料理界”を語る上でカルロ・クラッコ氏の名前は外せない。ダヴィデ・オルダーニ氏らとともにマルケージ氏の下で働き、マルケジーニ(=マルケージ・チルドレン)を筆頭として3ツ星獲得に貢献。その後もフィレンツェの名店【エノテカ・ピンキオーリ】やマルケージ氏がフランチャコルタに移転した後の新店【アルベレータ】でともにシェフとして3ツ星を獲得するなど活躍。その後ミラノに自分の名前を冠した初のレストラン【クラッコ】をオープンし、ミシュラン2ツ星を獲得。料理番組「マスターシェフ」の審査員を務めるなど華々しい活躍を見せてきたのだ。その【クラッコ】は満を持して2018年に春にミラノのシンボル「ガッレリア」内に移転。それはミラノ市との共同プロジェクトでレストラン【リストランテ・クラッコ】はじめバールやイベント・スペースなど複合施設を備えた【ガッレリア・クラッコ】として再スタートを切った。
新生【リストランテ・クラッコ】は1877年に完成した鉄とガラスの大伽藍「ガッレリア」中心部にある。1階がクラシックなカフェとドルチェ、2階がレストラン、そしてガッレリアを見下ろす最上階のイベント・スペースは1920年代のインテリア。設計者の名前をとり「ジュゼッペ・メンゴーニ」と名付けられた。さて、その【リストランテ・クラッコ】は3つの小部屋と2つのプライベートルームから構成されており、水色と黄色を多用したミッド・センチュリー・ヴィンテージのスタイル。料理はカルロ・クラッコ氏の過去の名作から最新料理までが味わえる。
クラッコ氏の代表的料理といえば卵黄をのみをつかった手打ちパスタが有名だ。これは卵黄を大豆の粉と砂糖でマリネし、15日間かけて水分を抜いてからシート状に伸ばしたもの。透き通った黄金色のパスタは見た目もゴージャスだが味わいもリッチ。これにチーズのフォンドゥータや白トリュフをあわせるのがクラッコ氏の十八番だが、この季節は夏らしくトマトを練りこんだ赤銅色のパスタで、ほのかな酸味が心地よい。
もう一品手打ちパスタを選ぶなら『ニシンのラヴィオリ』だ。これは自家製マヨネーズであえたニシンを詰めたラヴィオリで、ポロネギとフェンネルからとったブロードに浮かべたスープ・パスタ。ややスモーキーで北欧を思わせるニシンと、南イタリアを感じさせるブロードとの出会いが新鮮。『ウォーヴォ・イン・ネロ=黒いタマゴ』も代表作の一つ。【リストランテ・クラッコ】はタマゴが持つ素材として可能性を追求、さまざまな手法で料理に取り入れておりこれはポーチドエッグを竹炭をつかった黒いパン粉をまぶしてフリット、ナイフを入れるとなかからはとろりと半熟の卵黄が流れ出す濃厚な料理。イクラのトッピングで鶏卵×魚卵というコンビネーションが味わえる。
「ガッレリアは最もミラノらしい場所ですが近年は観光地化が進んで、必ずしもミラノらしさ、上品さ、お洒落、洗練、とは言い難かった。わたしはこのプロジェクトを機会に昔のガッレリアを取り戻したいのです。」とクラッコ氏。ガレリアの新たな新名所はイタリアにおけるガストロノミーの中心地、ミラノにおいてもっとも重要なエリアとなりそうだ。シェフの流儀 カルロ・クラッコ氏
いままでミラノはフードツーリズムという観点においては必ずしも魅力ある場所ではなく、観光とガストロノミーは相容れない存在だった。でもこれからはそれではいけない。このガッレリア再生を機にミラノはイタリアにおけるフードツーリズム拠点となって、多くの人にミラノのレストランを味わってほしい。わたしもそのひとり、やりますよ。
ミラノから日帰りで叶う、
エキサイティングな食体験
北イタリアの
トップレストラン
Hitosara special
“世界一のレストラン”に輝き続けたモデナのレストラン【オステリア・フランチェスカーナ】ほか、
世界トップレベルのガストロノミ―レストランが集まる北イタリア。
クールで、アーティスティックでエキサイティングな新しいファインダイニングの体験を楽しみに、
今日も人々は、そのレストランを目指して旅に出る。
ミラノを拠点に、今、のりにのっている、レストランを取材した。
Photographs by Tadahiko Nagata / Coordination&Text by Masakatsu Ikeda / Design by form and craft Inc.
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