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グローバルな食のパラダイスへ 香港の
TOPレストラン
Hitosara special

意欲的な東西融合や伝統復活など、シェフの挑戦を歓迎するダイナーが集まるのが、活気溢れる食い倒れの街・香港。
世界中から集まるシェフも食材も高水準な国際都市で、本場の広東料理はもちろん、
今の香港で食べるべき最先端レストランをご紹介します。

Photographs by Miyuki Kume, Billy Ha, Takuya Suzuki / Text by Miyako Kai, Shinji Yoshida
Coordination by Miyako Kai / Design by form and craft Inc.

月掲載
  • クリームやバターを使わずに、オリーブオイルとレモンをたっぷり使った『Warm Prawns with Olive Oil』は、
    【Le Petit Maison】の創業時からの代表料理。

    Le Petit Maison ル・プティ・メゾン

    アジア初出店! 香港で花開く
    ヘルシーで華やかな南仏の洗練

     2018年、「香港に【Le Petit Maison】が来る」という話題が、食通の間で持ちきりになった。歴史ある羨望のリゾート地として知られる南仏のニースで1988年に創業。ロンドン、マイアミ、ドバイ、イスタンブール、アブダビに進出して、いずれも高い人気を維持している【Le Petit Maison】は、世界中を駆け回る人たちが集まる香港では、すでに潜在ファンが多数いるブランドだったのだ。
     「初めてニースの創業店に足を踏み入れた瞬間、レモンジュース、トマト、オリーブオイルの新鮮な香りが充満していて、うっとりした」とにこやかに語る、シェフパトロンのラファエル・ダントエ氏。かつてダントエ氏がシニア・スーシェフとして勤めた【ZUMA】オーナーが、自分が大ファンだった【Le Petit Maison】ブランドの海外でのフランチャイズオーナーに。ダントエ氏が陣頭指揮を執り、2007年にロンドン店がオープンした。
     「このとき、創業店にはないコンセプトとして取り入れたのが、大皿によるシェア。当時ヨーロッパでは一人一皿が基本だから、これはセンセーショナルだった。でも実はイギリスでもフランスでも、元々、家庭ではシェアが当たり前だったんだ。それぞれの皿に違う物語があるのだから、他の人のものも試したいと感じるのは自然なことだよね」
     大皿と言っても、料理そのものは繊細で高品質。「クリームもバターも使わない。素晴らしい食材を手に入れて、オリーブオイルとレモンをふんだんに使って食材を生かすのが、【Le Petit Maison】のスタイル。方法論はフレンチだけど、発想は日本的かもしれないね」
     旬の食材の入手という点では、香港はとても有利、とダントエ氏。「たとえば冬には、ニュージーランドから旬のトマトがすんなり手に入る。近隣地域からの食材の入手経路がしっかりしているから、料理の幅が広がるよ」
     すべての料理が、太陽の恵みをたっぷり受けた食材をシンプル巧みに調理したもので、とにかくヘルシー。「【Le Petit Maison】の料理は、体に優しくて女性好み。アイテム数も多いから、週に3、4回来ても飽きない。まずは女性に好まれれば、男性は勝手についてくるからね(笑)」
     世界中の人が集まるダイナミックなアジアのゲートウェイである香港に出店を考え始めてから、オープンまで8年を要した。「立地が良くて、天井が高くて、明るい光に溢れる空間をずっと探していたんだ。地中海の食べものには光が大切だからね」。光を主役に、白を基調にしたプレーンなインテリアは、古びることがない。そこにアートを飾って色を加えるのが【Le Petit Maison】のスタイルだ。
     「レストランはステージ。マネージャーが監督。アクターであるお客様に特別な気分を味わってもらうには、空間や小道具はもちろん、温かいおもてなしが何より大切。その場所をホームにするのは、贅沢な装飾じゃなくて、そこにいる人間だから、といつもスタッフに話している」
     そんなダントエ氏の言葉通り、幸せそうに食事をするスタイリッシュな女性たちで溢れる店内には、何とも言えない華やぎがある。カトラリーがぶつかる音や笑い声が、空間の最高の仕上げになった、地元で愛されるレストランで、楽しい食事の時間を。

    • 香港店起ち上げがほぼ落ち着き、これからはロンドンと香港で月の半々を過ごすことになるというオーナーシェフのラファエル・ダントエ氏。活気あって大好きな香港にオープンできたのはとても嬉しいそう。夢は東京に【Le Petit Maison】をオープンさせること!
    • ハマチの刺身をオレンジドレッシングで和えた『Yellowtail Carpaccio』。下にはアボガドが隠れていて、フレッシュな味わいのアクセントに
    • ニースにあるLPMの創業店から引き継がれているラム料理が『Grilled Lamb Cutlets with Smoked Aubergine』。オリーブオイルでマリネして炭焼きしたラムと、風味豊かに作られたナスソースのコンビが最高
    シェフの流儀 ラファエル・ダントエ氏

    実は店内だけでなく、キッチンが非常にゆったりしていて美しい。「料理の質を一定させるにはストラクチャーが重要。シェフはキッチンで長時間を過ごすから、シェフが快適に働けることが質の安定につながるんだ」

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