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シェフがオススメするお店 特別企画vol.10

【アクアパッツァ】日髙良実シェフがすすめる 魚のおいしさが堪能できる店4 日髙 良実 氏の料理人情報を見る 宮木 康彦 氏の料理人情報を見る

普段から、料理とお酒を寛いで楽しめるお店が好きだという【アクアパッツァ】の日髙シェフ。
今回、まず名前が挙がったのは、自由が丘にある居酒屋【旬炉あわい】だ。
取材当日は、同じく自由が丘でイタリア料理店【mondo】を営み、
【旬炉あわい】にもよく訪れるという宮木康彦シェフも飛び入り参加。
二人のトップシェフに、その魅力についてうかがった。

夜な夜な、料理人が集まる居酒屋

 自由が丘駅から歩いて5分ほど。気仙沼の“旬”の魚介、そして川俣軍鶏の“炉”端焼きを中心とした料理が揃い、大人がゆったりと飲める居酒屋【旬炉あわい】。

この店のカウンターに座り、日髙シェフは「こうやって大将の目の前でね、食材の話を聞きながらお酒を飲むのが、至福の時間なんです」と、その魅力を話す。自らも「みなと気仙沼大使」を務め、気仙沼の地場の食材を応援していたところ、料理人の知り合いから「気仙沼の食材への愛が強い店があります」と誘われたのが、この店に訪れたきっかけだという。

一方、同じく自由が丘でイタリア料理店を営む宮木シェフも、仕事の後によくこの店に訪れるという。「料理が美味しいのはもちろん、店自体に活気があって、食べて飲んで自分も元気になって帰れるお店です」という宮木シェフ。

日髙シェフも、その言葉に頷きつつ、「まず、”料理”を主役に据えて楽しめること。そこに“お酒”も大事な要素ですね。レストランという言葉の語源も『元気になる』という意味からですが、【旬炉あわい】さんのカウンターも、笑顔の方ばかり。まさしく元気がもらえるお店の一つだと思いますよ」と続ける。

ラストオーダーである深夜0時30分まで、界隈の料理人たちにとっては仕事後の憩いの場になっているという同店。宮木シェフ曰く、ときに遅い時間にはカウンターのほとんどが料理人で埋まることもあるのだとか。“元気をもらい”にこの店に通う料理人は、この二人のシェフだけではないのだ。

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メカジキの背ビレを甘辛く煮付けた『カジキマグロのハーモニカ』は気仙沼の郷土料理。気仙沼はメカジキの水揚げ量が日本一で、同店ではメカジキの刺身も提供

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カウンターに座って、食べ物の話をしているときが至福の時間だという日髙シェフ。お酒を飲み、寛ぎながらも、料理や食材への探求心は忘れることがない

食材のストーリーを聞きながら料理をいただく

【旬炉あわい】の大将である内海さんは、自分の生まれ故郷・気仙沼産の魚にこだわるが、特筆すべきはその素材の扱いの徹底ぶりだ。「地元で獲れた魚を、おいしく食べてもらいたいという一心でやっています。ほぼ独学ではありますが、魚の食べ頃に関しては非常にこだわっている部分ですね」。

どの海にいた魚が、どのような経路で、水揚げから何日目に店に入ってきたか、という所まで把握し、店でどのくらい寝かせば、旨みが一番になるかを判断する。長年かけて信頼関係を築いた魚業者ともコミュニケーションをとり、店に入る前と後での温度管理も余念がない。また、煮付けなど魚に味付けする場合は、身の厚みによって味の濃さを調整するなど、海の中から提供するまでの一連でこだわる。

「とにかく食材への愛が強くて、すごくよく理解されている。市場に並んでいる魚を見ても、分からない事を内海さんに教えていただけますし、聞いた話を次の日にお店で実践したりもします。」と、その魚に対する知見の深さと扱いに、宮木シェフも刺激を受けたという。

片や日髙シェフは、こうした食材の背景を聞きながら料理をいただくことが【旬炉あわい】の大きな魅力だと話す。
「『この茹でダコは、気仙沼で”タコ茹で名人”と呼ばれるおばあさんがいて、向こうから茹でたものを送ってくれる』なんて話を聞いて、食べてみると茹で加減、塩加減が本当に絶妙なんです。背景と一緒に食材を食べれば、もっと美味しく感じますし、なにより愛おしさが増しますよね。大将との会話から、その日食べるべき料理を決めていく。これは、カウンターならではの醍醐味ですよね」。

【旬炉あわい】同様、魚のおいしさにこだわったお店の中から、【アクアパッツァ】の日髙シェフがこれぞ!と思う店を4店、オススメする理由とともに挙げてもらった。

日髙シェフがすすめる、魚のおいしさが堪能できる店

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東京・自由が丘
旬炉あわい

大将・内海さんのこだわりが詰まった料理の数々はトップシェフも認めるところながら、居酒屋らしくカジュアルな点もまた魅力。「カウンターで客と料理人が料理の話をしながら、寛いで食事ができる。自分の店にはない要素なので、非常に憧れる部分でもあります」。
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東京・恵比寿
鮨くりや川

和食以外の料理からもインスピレーションを得ながら、ひねりを利かせた一貫や一品料理を織り交ぜ、本領である江戸前鮨を引き立てる。「鮨のレベルが高いだけでなく、『鮨前の料理』の数々が創造的。鮨を食べ慣れた食通の方をお連れしてもまったく申し分ありません」。
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東京・北参道
マンジャペッシェ

「魚を召し上がれ」という意味の店名どおり、魚介に強いこだわりをもち、素材の良さをとことん追求。「その日おすすめの食材を聞きながら、料理を決めていくスタイルが楽しいですね。好きな飲み物を合わせて、自然と会話が弾むような素敵な時間が過ごせます」。
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東京・日本橋
日本橋いづもや

昭和21年創業、現在は3代目の若大将が暖簾を守る鰻専門店。「鰻の焼き加減といい、あっさり目のタレといい、ご飯との相性は抜群。加えて、肝焼き、白焼き、う巻きなど、鰻を色々な食べ方で楽しめる『鰻づくしコース』も相当な魅力です。鰻の味わいを存分に堪能できますよ」。
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