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進化し続ける食の都の最前線 マカオの
TOPレストラン
Hitosara special

元ポルトガル領のひなびた港町からアジア屈指のカジノリゾートへ。
そんなマカオにいま、世界最高峰の味覚が集結中。
空間も料理も桁違いの迫力にあふれるマカオの食を体験して欲しい。

Photographs by Billy Ha, Takuya Suzuki / Text by Miyako Kai, Taketoshi Onishi /
Cordinate by Miyako Kai / Design by form and craft Inc.

月掲載
  • 一級品のカル―パを蒸して、カリッとさせた豆鼓とガーリックのソースをかけた『金蒜翡翠星斑珠』。
    鮮やかなグリーンでガルーパの皮のピンクを引き立たせながら、味と食感のバラエティを増す芥蘭(中国ブロッコリー)は、龍の鱗に見立てた包丁技も見事

    The Eight エイト

    マスターシェフの確かな技が冴える
    広東料理の頂点を極める人気店

     歴史の古いマカオ半島側で、燦然と輝く奇想天外なデザインの高層ホテル「Grand Lisboa」は、三ツ星レストランが2軒という食の質の高さでも知られている。
     そのひとつが広東料理店【The Eight】。ホテルのエレベーターを降り、中国で縁起のいい数である「8」をあしらったエントランスへ。レストランの自動扉がすっと開くと、いきなり視界が暗くなり、デジタルな金魚たちが泳ぐ廊下、そしてその先には赤と黒の華麗なる世界が広がる。店の中心に浮かぶ巨大なクリスタルボールの背後には、悠々と泳ぐ見事な手刺繍の金魚たち。有名デザイナー、アラン・チャン氏が手がけたインテリアは、オープン12年を経ても少しも色褪せず、確実に食の楽しみを盛り上げてくれる。
     もちろん4年連続三ツ星獲得中の実力は、期待をひとつも裏切らないどころか、来る度に美味しいものを食べて新しい味を開拓する楽しさを教えてくれる良店だ。
     さっそくその広東料理の頂点を極めた自慢の料理をいただこう。見ただけで食材の質と調理の腕前が伝わる蒸し魚には、この道50年のシェフ、ジョセフ・ツェー氏が選び抜いたフィリピン産のガルーパを使用。「ガルーパには3色、皮の色がある中で、このピンクの皮のタイプが最高」とツェー氏。長年、香港の最高級広東料理店を任され、2015年からマカオのエイトへ。香港では中国料理でもっとも権威ある調理学校の講師も務めていたツェー氏は、まさにマスターシェフ。しかし伝統のアップデートは欠かさない。
     このガルーパ、フワフワなのに、きちんと締まった肉の食感もある。添えられたソースはガルーパの骨をベースにして紹興酒を少し。皿には、陳皮とニンニクを加えた豆鼓ソース、包丁技に目が惹きつけられる刻み干し生姜とネギ、芥蘭のみ。ミニマルなのに何も過不足がない迫力だ。魚自体がこれだけの味なら、何もつける必要がないけれども、好みで添えられた薬味を組み合わせて楽しむのもいい。
     「水槽から生きた魚を取り出して絞めて、すぐ調理するシンプルな蒸し魚は、今も昔も広東料理の基本メニュー。従来は丸ごと一匹で作るものだけれど、少人数で来るお客様のために、切り身でも出している」とシェフ。1匹を6枚に下ろすため、予約状況を見つつ、サービス係が他のお客にも同時に勧めるなど厨房と連携して、一匹丸ごと調理するのと変わらない品質を保つ努力をしている。「三ツ星というのは僕だけの手柄ではなく、チーム全体の努力の賜物。毎日オープン前のミーティングでは、今日はどんなゲストが来るか、何をお勧めするかを確認して、最高のパフォーマンスができるように綿密なサービス計画を立てるんだ」。
     一品料理はもちろん、すべて当日手づくりされて本気の調理で仕上げる点心も、間違いなく美味しく、洗練されている。さらにカジノホテルの直営レストランならではのお得感のある価格設定。当然、人気が高いので早めの予約をお勧めする。

    • 八角、桂皮、醤油、氷砂糖、紹興酒でマリネしたアンガス牛を5時間スロークックした『黄金雪花牛』。薄い衣を付けて軽く揚げて、力強い風味と癖になる食感を出す。なんと醤油にはキッコーマンを使用しているそう。キンモクセイと蜂蜜でマリネした蓮根をアクセントにして、サワークリームを添えている
    • 蟹爪を載せた茶碗蒸し風は伝統的広東料理だが、こちらは太陽卵の卵白のみを使った珍しいタイプの『魚湯蛋白蒸』。卵白と蟹殻スープの割合や調理時間、サーブまでに蓋を開けたり閉めたりして蒸気を調節することで、完璧な柔らかさの食感を生み出している
    • 海老蒸し餃子の『藍天使蝦金魚餃』はシェフ厳選のニュージーランド産淡水海老「クリスタルブルーシュリンプ」を使用。味のアクセントに少しのゴマ油だけを加えてシンプルに蒸している。ハリネズミ型叉焼包『脆香叉焼包』は、シェフがハサミで100本の針を切り出し、底をカリッと焼くことで美味しさがさらにアップ
    シェフの流儀 ジョセフ・ツェー氏

    「食材の美味しさがもっとも大事」と語るツェー氏の強みは、旬の中でもさらに細かい最高のタイミングを、食材ごとに把握して仕入れて、調理できること。「ホワイトアスパラガスなんて1週間でまったく変わるからね」。「シェフのオススメメニュー」にはそんな最高の旬食材が並ぶそうなので、ぜひお試しを。

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