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進化し続ける食の都の最前線 マカオの
TOPレストラン
Hitosara special

元ポルトガル領のひなびた港町からアジア屈指のカジノリゾートへ。
そんなマカオにいま、世界最高峰の味覚が集結中。
空間も料理も桁違いの迫力にあふれるマカオの食を体験して欲しい。

Photographs by Billy Ha, Takuya Suzuki / Text by Miyako Kai, Taketoshi Onishi /
Cordinate by Miyako Kai / Design by form and craft Inc.

月掲載
  • Golden Flower ゴールデンフラワー

    クリアな一滴のスープに
    巨匠の矜持が現れる

    「心を込める、それがいちばん大切です」。
     清代の役人・譚宗浚が編み出した料理であり、その後、高級官僚の家系で代々継承されてきた譚家菜の継承者とされるリュウ・グォヂゥー氏は沈黙の後、ゆっくりとそう教えてくれた。
     そしてチキンをベースにしたふたつのスープを使った料理を差し出した。濃湯(ノンタン)と清湯(チンタン)。どちらもチキンをベースにしたスープでありながらアプローチの違いで全く別物の料理になって登場する。濃湯は鶏の脂肪がクリーミーになるまで煮込み、清湯は脂を取っては澄まし取っては澄ましを繰り返しクリアな一滴となる。
     濃湯を使った蟹と魚の浮袋のチキンスープ煮は、鶏から出る旨みが浮袋に染み渡る力強い味わい、対して貝と合わせた清湯はじんわりと儚い滋味が口中に広がる。
    「見えないもの、事こそ、料理ではもっとも大切」。取材中も言葉少なだが、その分、言わんとしていることは十二分に伝わってくる。
     北京出身で、北京ホテルで長年勤務。譚家菜の後継者として、エリザベス女王や各国首脳などの国賓をもてなしてきたリュウ・グォヂゥー氏が譚家菜の調理法を駆使し、さらには山東、そして後に赴いた四川料理のエッセンスまでを取り入れるという【Golden Flower】。澄んだ一滴のスープに、手間を惜しまず、妥協せずの巨匠の矜持は如実に現れるのだ。

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