アロマを大切にした旬のイタリアンを生み出す料理人
【アロマフレスカ】原田 慎次氏イタリアン
世界の流行や情報、グルメが集まる街、銀座。メインストリートにあるビルの12階に、「香り豊かなイタリア料理」を楽しむリストランテ【アロマフレスカ】がある。オーナーの原田慎次シェフは、素材の仕入れから味わう空間づくりに至るまで、徹底的にこだわる料理人。そんな原田慎次シェフの香りにこだわり抜くヨコガオに迫った。
アロマを大切にした旬のイタリアンを生み出す料理人
世界の流行や情報、グルメが集まる街、銀座。メインストリートにあるビルの12階に、「香り豊かなイタリア料理」を楽しむリストランテ【アロマフレスカ】がある。オーナーの原田慎次シェフは、素材の仕入れから味わう空間づくりに至るまで、徹底的にこだわる料理人。そんな原田慎次シェフの香りにこだわり抜くヨコガオに迫った。
高校時代のアルバイトで、仕込みから調理までを担当したことから料理の面白さに目覚め、料理人への道が開けて行ったという原田慎次シェフ。最初はフレンチに進みたかったが、イタリアンのダイナミックかつストレートさに魅せられ、また麺好きであることから、こちらの道へ進むこととなる。
1988年に六本木【ヂーノ】の佐竹シェフのところでアルバイトをはじめ、そのまま5年間、イタリアンの基礎を学ぶ。「素材に対して最短距離で調理する」という佐竹シェフの考えに従って研鑽を重ね、4年後に独立して【アロマフレスカ】をオープンした。
独立したての頃は、仕入れ業者や産地の生産者ともやり取りがなく、いい素材を仕入れるために苦労をした時期もあったが、時間をかけ、誠意をこめたやりとりで少しずつ信頼を勝ち取り、今では鮨・割烹で使われる魚介や高級店で使われる野菜などの食材が手に入るようになった。サイズや重量、調理法まで指定して注文することができるのも、こうした地道な努力の賜物だといえる。
店名の「アロマフレスカ」には、「フレッシュな香り」という意味がある。盛り付けの美しさ、香り、味わいが三位一体となった料理の数々は、厳選して仕入れる素材と、計算し尽くされた空間があってこそ生み出されるもの。仕入れの際には、サイズや量はもちろんのこと、調理をした時の料理の温度や、盛り付けた時の皿の上での広がり具合まで想像しながら、素材を吟味・重視して料理をつくる。
完成した料理を味わうテーブルは、高さやイスのサイズ、テーブルとのバランスもミリ単位で指定。料理を乗せる皿も2枚重ねにすることで、料理との距離を短くして料理の香りがより際立つよう工夫してある。
「厨房の設計図は特に大切」と、原田シェフは自ら厨房の設計図を書いて、施工業者に発注するほどのこだわりようだ。それもすべて「三位一体の料理を五感で味わう」ためのもの。運ばれてきた瞬間にフワッと漂う料理の香りが、一層の至福を運んでくれる。
このように、素材の旨みと香りを生かした料理づくりに空間ごとこだわる原田シェフが、【アロマフレスカ】のオープン前に、お店のスペシャリテとして生み出したのが、『蒸し穴子とフレッシュトマトの組み合わせ』。
ディルやローリエといったハーブと穴子を交互に重ねて40分ほど蒸し、皿に裏ごししたフルーツトマト、穴子の上にホワジャオ(花山椒)、脂を添えて仕上げた逸品だ。柔らかな穴子の実にトマトの酸味とスパイスの風味、花山椒の辛みがアクセントを添えている。火の入れ方を調整し、食卓に届いたときに、立ちのぼる香りを意識して仕上げた。
テーブルに届くと同時に鼻腔をくすぐるトマト、穴子、ハーブの香り。口に入れると同時に広がるトマトの爽やかな甘味と酸味が、ふっくらと蒸しあげられた穴子の味わいを上品に引き締める。テーブルや皿の高さまで、すべてアロマを第一に計算しつくされ、設計されたなかで味わう、【アロマフレスカ】の料理。そこには原田シェフの「香り」に対するつよいこだわりが表現されている。
【ヂーノ】(現:レーネア)の佐竹シェフは、「素材に対して最短距離で調理すること」を教えてくれた料理人。素材へのアプローチ法から調理する時間、料理に対する考え方など、素材に対するすべてにおいて、影響を受けていたといえる。
修業時代、原田シェフは佐竹シェフのつくった料理を忠実に再現するために、鍋の使い方から皿の盛り付け方に至るまで、すべてを真似して料理をつくり、その味わいを舌に刻みこんだ。
つくる料理は目で見て、また鍋を洗う時に鍋底に残っているソースの味をチェックしたりしながら、必死で覚えた。「師匠がいたら、2番手は常にメインシェフの忠実なコピーを演じなければならない」と原田シェフ。シェフがいないと言われないよう、まったく同じ味をつくれるよう、真剣に取り組んでいたという。
あの頃があるから今の自分があると自負する原田シェフ。その精神は今でも料理に反映されている。
文/ヒトサラ編集部
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