初夏の彩鰹
初夏薫る5月の食材として知られる「初鰹」。戦国時代には縁起物として、江戸時代には粋な食べ物として愛され続けてきた初鰹は、さっぱりと引き締まった身が美味とされます。そんな初夏に味わいたい風情あふれる『鰹のたたき』を提供する、東京・赤坂見附【かさね】をご紹介します。
初夏薫る5月の食材として知られる「初鰹」。戦国時代には縁起物として、江戸時代には粋な食べ物として愛され続けてきた初鰹は、さっぱりと引き締まった身が美味とされます。そんな初夏に味わいたい風情あふれる『鰹のたたき』を提供する、東京・赤坂見附【かさね】をご紹介します。
【かさね】東京・赤坂
脂ののった秋の「戻り鰹」とは異なり、夏の到来を告げる「初鰹」は、サッパリと引き締まった身をシンプルに味わうのが信条。宮崎県産の食材を使った季節の割烹料理を饗している東京・赤坂の割烹料理【かさね】では、この時期、吟味を重ねた新鮮な鰹に、山海の恵みを合わせた、華かなたたき料理『鰹のたたき 初夏の彩り』を味わうことができます。
この日仕入れたのは、九州・宮崎産の小ぶりの鰹。卸した鰹は串にさし、直火の強火でサッと皮だけを焼きます。焼いてすぐ氷水につけることで身を引き締めるのが一般的だが、ご主人の柏田さんは、旨みを逃がさず味わって欲しいからと、そのままの状態で出すことにこだわります。そのため、火入れは出す直前に行ない、焼いたら表面が温かいうちに切ってすぐに出せるよう、他の準備を万全にしておくといいます。
鰹と合わせたのは、ウルイやワラビ、タケノコほか7種の野菜と果物、そしてイイダコ、アオヤギなどの魚介類。エグミや粘り、酸味に甘みといった食感や味覚の異なる食材を組み合わせることで、より幅広い味わいを楽しめるよう工夫を凝らします。盛り付けの最後にハッサクを回しかけ、立ちのぼる柑橘系の香りが完成を告げるのです。
豊富な食材とともに、華やかに盛り付けられた料理に添えてあるのは、たたき料理に欠かせないポン酢。かさねのポン酢は酸味のなかにも旨みがあり、香り豊かな宮崎県日向特産の「へべ酢」に、鰹と昆布の出汁、醤油や酒などを加えて寝かせた後、丁寧に濾してつくった自家製です。
熟成させたポン酢でサッパリとした鰹そのものの旨みを楽しんだ後は、ウルイの粘りやワラビの爽やかな苦みなど、異なる食材を合わせることで生まれる触感の違いや、奥深い味のコラボレーションを堪能。さらにトマトやハッサクの酸味はポン酢との相性も良く、初夏の風が口の中を吹き抜けていくような感覚に襲われます。
縁起を担ぎ、長寿を願って食されてきた「初鰹」。爽やかな酸味に包まれ、サッパリとした味わいの身を日本酒とともに味わえば、初夏の訪れを感じられるに違いありません。
PICK UP
パプリカやししとうなどの唐辛子類が旬を迎え、ビールのお供、枝豆も欠かせません。トビウオやスズキ、シマアジも収穫期。
秋の味覚の王様、松茸が店頭に並びます。サンマの水揚げがはじまり、たっぷりと脂がのった戻り鰹の季節です。
収穫の秋、里芋類やカボチャなどがおいしくなる季節です。サンマに脂がのり、イワシやニシン、イカがなども旬を迎えます。
ズワイガニ漁、サクラエビの秋漁、さらに山の幸ジビエの狩猟が解禁。サツマイモやカボチャなどの甘味もピークです。
鍋に最適な冬野菜の白菜や大根、春菊がおいしい季節です。海の幸もカキやホタテが旬を迎え、魚は脂がのって旨味が増します。
年が明け、旬を迎える魚が一年で最も多いのがこの時期。アマダイやアカムツ、イカやアカガイが出まわります。
ホタテやタラ、あんこうなど鍋に入れたい魚が豊富。蕾菜やアスパラ菜などが花芽を伸ばし、春の訪れはすぐそこです。
富山のホタルイカ漁が解禁。あさりや蛤などもおいしく、潮干狩りのシーズンを迎えます。山菜が出始めるのもこの頃。
アスパラガスやたけのこが出まわり、新タマネギや新ジャガイモの収穫も始まります。真鯛や鰆も獲れ、春到来です。
初鰹が最盛期を迎えます。野菜は、絹さややスナップエンドウなどの豆類がおいしい季節となります。
キュウリやピーマン、空芯菜やつる紫などの夏野菜が出始めます。海の幸は鮎やキス、トビウオ、マアジが旬を迎えます。
スズキやトビウオ、真アジに加え、鮎やハモも旬真っ盛り。茄子やズッキーニ、ゴーヤーなどの夏野菜が食卓を彩ります。