1. ヒトサラ
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  3. 「中華」がおいしい東京のお店 新橋【四川料理 趙楊】、【神楽坂芝蘭】、西小岩【四川家庭料理 珍々】
痺れる辛さ「旨辛中華」 痺れる辛さ「旨辛中華」 痺れる辛さ「旨辛中華」

痺れる辛さ旨辛中華

唐辛子の旬は7~9月。唐辛子に含まれるカプサイシンは発汗を促すという健康効果もあるので、夏バテ解消にも効果的。今回は辛くて旨い中華料理の中から、『麻婆豆腐』、『火鍋』、『家郷鶏(ジャーシャージ)』の3品をご紹介します。

四川では暑い夏にこそ食す『鴛鴦火鍋』、
ピリッとした辛さの先に広がる確かな旨味

【神楽坂芝蘭】東京・神楽坂

伝統を守りながら独自の四川料理を追求、本場の熱気を伝える

 辛い料理は、辛さと味わいを両立できるかが争点。逃げ場のない辛さに覆われて旨味が感じられない料理もありますが、そんな杞憂を払しょくするのが【神楽坂芝蘭】のめくるめく四川料理たち。激辛好きは勿論、辛いものが得意ではない人をも虜にしています。

喧騒から離れた路地裏の、石畳の小道に静かに佇む黒塀の一軒。店内はアイボリーとダークブラウンを基調にした洗練された空間

 今回紹介する『鴛鴦(おしどり)火鍋』は、多様な唐辛子を使い分けた豊かな辛味が味わえる麻辣スープが肝。「辛い料理は辛さの中にコクと旨みがないと、痛いだけになってしまう」と話すのは、オーナーシェフの渡辺嘉朗氏。

鴛鴦鍋に“旨辛”な麻辣スープと、ナツメやクコの実、松の実など薬膳の素材を加えた白湯スープのスープを張ります

麻辣スープには本場から仕入れた約13種類の香辛料をブレンド。この中で、『鴛鴦火鍋』でしか味わえない格別な風味を演出しているのが、コロンと真ん丸い「朝天唐辛子」を使用した「ズーバージャン」です。

すっきりとした強い辛味と、食欲をそそる風味が特徴。「朝天唐辛子」の種と芯を取り除いて炊き、ミンチにかけます。労力と手間がかかるため、四川省でも使用している店舗は稀有。「ズーバージャン」を使うことで、「塩味を増やさずに、甘みと香りと辛さを強め、コクと旨みを付与することができます」。

「山椒」や「豆板醤」、「泡辣椒(パオラージャオ)」(赤唐辛子の塩漬け)は、一番いいものが出回る9月に現地から入荷

香辛料を炒めてスパイシーな香りをスープに移し、豆板醤を溶いたら、麻辣スープが完成。スープの辛さを纏った肉や野菜を噛みしめると、辛さの先には確かな旨さが広がります。しっかりと味付けをし、コクと旨さを確立させるからこそ、ピリッとした辛さの奥にある旨味が鼻孔を抜けていくのです。

『鴛鴦火鍋』に合わせて飲みたいのが、香り高い「白酒(パイチュウ)」。紹興酒やワインも各種取り揃える

 四川では暑い夏にこそ汗を流しながら『火鍋』を食べるのだそう。この夏は、現地の熱気が感じられる一軒で『火鍋』を囲んでみましょうか。

撮影/永友啓美 文/ヒトサラ編集部

2種の山椒が奏でる痺れ味と、刺激の中に
広がる甘さ花椒の香りがたまらない『麻婆豆腐』

【四川料理 趙楊】東京・新橋

趙楊氏の世界最高峰の技に痺れる、本場の味を伝承した中華料理店

 辛さを抑えた甘口のものから激辛と呼ばれるものまで、辛さの幅を持ちながら日本に深く浸透している『麻婆豆腐』。“旨さ”と“辛さ”を兼ね備えた四川料理の代表格です。 『麻婆豆腐』をはじめとした四川料理の味を日本の料理人たちに伝承した、この道では言わずと知れた巨匠が、【四川料理 趙楊】の趙楊(ちょうよう)氏。若くして本場・四川省成都にある【金牛賓館】の国賓宴会料理長を務めたキャリアの持ち主です。

ベースとなるのは中国四川省の家庭料理。海のない地方のため、写真の干スルメイカの炒めものなど、海産物の乾物を使ったメニューも数多く登場

 定番の『麻婆豆腐』は、1999年のオープン当初には日本人向けに辛さを抑えた味付けにアレンジしたそうですが、お客さんの声を受け、ほどなく本場の味に回帰。料理人として培った経験値で香辛料のバランスを見極め、本場が認めた最高の技を施しています。

『麻婆豆腐』。ポイントは「中華鍋で混ぜる時に豆腐を崩ないように、おたまの背を使ってやさしく押し出すようにすること」

日本では花椒を抜いて辛さを抑えた味付けも市民権を得ていますが、「唐辛子の辛さである“辣味”と、花椒の痺れる辛さである“麻味”が2つ揃ってはじめて本場の味わいです」と趙楊氏。そんな痺れる辛さの中に、ふんわりと広がる自家製豆腐や肉の甘さを味わうのがこの料理の愉しみ方です。

これもまた“旨辛”の様相を呈した人気メニュー『鶏の四川唐辛子炒め』。ヒリヒリとした辛さが病み付きになる

 さらに、味の決め手となるのが「花椒」と「山椒」。いずれも四川から取り寄せた最高級品を使用。赤はまろやかな辛さ、青は激しい刺激を与え、実の青みが豊かな香りを演出します。「2種類の山椒を組み合わせることで味に奥行きを出し、深みを与えます。刺激の中に旨みが広がるんです」。

料理を引き立てるのが、味わい深い熟成中国酒。甕出し紹興酒や熟成老酒など、こだわりのラインナップ

 ともすれば辛さだけが強調されがちな四川料理ですが、本来は香りを楽しむ料理。四川風『麻婆豆腐』の痺れる辛さの中に漂う痛快な香りも味わってみてください。

撮影/玉川 博之 文/ヒトサラ編集部

青唐辛子と粒山椒の異なる辛さが痛快、
爽やかな刺激『田舎風蒸し鶏の青唐辛子かけ』

【四川家庭料理 珍々】東京・小岩

“四川の家庭料理”を標榜し、人気食堂となった小岩の隠れ家

 小岩の住宅街に佇む【四川家庭料理 珍々】は、唐辛子や香辛料を駆使した四川料理をベースに、重慶市出身の黄革さんが考案した家庭料理が味わえるお店です。2001年にオープンしてから数年はメニューを設けず、その日仕入れた食材でつくる“おまかせ”のみで営業していたそう。

小岩の住宅街にひっそりと佇む隠れ家食堂。四川料理をベースに、黄革さんがレシピを考案して手がける家庭料理に出会えるお店

 この隠れ家食堂で、常連客を中心に好評を得ているのが、山梨県から仕入れた無農薬野菜を使った期間限定のメニュー。たとえば7月から夏の間だけ提供しているのは、田舎風蒸し鶏に旬の青唐辛子をかけた『家郷鶏(ジャーシャージ)』という料理です。

「うちの料理は大体オリジナルです。レシピを考えるのが楽しい」と笑う黄革さんが、青唐辛子の風味を活かすために味を想像してレシピを考えたという、ここでしか味わえない一皿。

家郷鶏(ジャーシャージ)を店オリジナルのメニューに昇華させた、『田舎風蒸し鶏の青唐辛子かけ』

塩味で茹でた鶏もも肉の上に乗せるのは、みじん切りにした生の青唐辛子。赤く完熟させる前に収穫したものが青唐辛子です。赤唐辛子が加熱すると辛さが増すのに対して、加熱すると辛さが和らぎます。

そのため、生でふんだんに乗せて辛さと香りを殺さず、且つ薬味のような役割も果たしています。鶏もも肉、青唐辛子はいずれも塩味をつけて全体を統一。その上に粒山椒を散らし、油を回しかけたら出来上がりです。

『蒜泥白肉』(豚肉のニンニクたれかけ)は、豚肉にニンニクとショウガ、辣油がからみ、ご飯が進む味付け

 この料理は「青唐辛子に和える塩のバランスと、熱い油をかける時の温度が重要」とのこと。ピリっとした山椒の痺れる辛さ、ヒリヒリする旬の青唐辛子の刺激的な辛さ。ベクトルの異なるふたつの辛さが奏でる、爽やかな夏の味に出会えます。

撮影/佐藤顕子 文/ヒトサラ編集部

全国のおいしい旨辛中華料理が
味わえるお店

コースメニューの最後を飾る『郷香自慢の汁なしタンタン麺』

【銀座 趙楊】の出身のシェフがつくる、山椒の痺れと唐辛子の辛味が口の中で調和する四川名物「汁なしタンタン麺」。豪快にかき混ぜて味わいます
東京・四谷三丁目

蜀郷香

03-3356-0818

店を訪れる大半の人がオーダーする看板メニュー、『陳麻婆豆腐』

豆板醤と甜麺醤、豆豉、山椒の旨みが重なりあい、麻辣(マーラー)の奥深い味わいを生み出しています。食べるほどにくせになる味わいです
東京・永田町

赤坂 四川飯店

03-3263-9371

程良い辛味がやみつきになる、『重慶よだれ鶏』

四川山椒と四川唐辛子がアクセントとなり、蒸し鶏の柔らかい部分と辛味が絡み合ってやみつきになる美味しさです
大阪・天王寺

四川餐館

06-6654-6145

ピリッとした辛さが際立つ『マーボー豆腐(麻婆豆腐)』

本場の味をそのまま再現。ピリッとした辛さの中に、マイルドな味わいが広がります。ごはんとの相性も抜群です
広島・五日市

中国菜館 竹琳

082-928-8998

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